これに対し、趙治勲名人は「口は災いのもとで、いまとても後悔している。でも、そのような形での恩返しは結構です。今年3月の時点では、囲碁を覚え始めた小学生のかわいい坊やくらいだったのが、いまや大学を卒業した博士という印象。憎たらしい。実際に碁の内容を見たが、めちゃくちゃ強い」と危機感を募らせる。そのうえで「ボクはもうちょっと、あと50年くらいは生きたい。だから、ここでコンピュータに負けるわけにはいかない。ただ、そろそろ人間と碁を打つのも飽きてきた。コンピュータ相手に打つのをとても楽しみにしている」と終始笑顔で応じていた。 将来的な目標について、川上会長は「今回の対局後も、人間との戦いを続けていきたい。AlphaGoにも挑戦したいし、競合する囲碁ソフトとの対局にも挑みたい」と説明。また、対局をニコニコ動画で生放送する意義については「ドワンゴでは昔から、囲碁・将棋をネットで盛り上げることを目指している。ネットと囲碁の親和性は高く、そこから若い囲碁ファンなども出ている」と説明した。■まるで鉄腕アトムと碁を打つよう 力試しのため、プロ棋士と対局するDeepZenGo。では趙治勲名人は、何のためにDeepZenGoと対局するのだろうか?囲み取材で、名人は「こういうソフトが強くなることに喜びを感じている。鉄腕アトムのファンだったので、まるで鉄腕アトムと碁を打っているような感覚。私は、李世ドルとも打ったことがある。人間と違い、コンピュータはこちらの誤魔化しに乗ってくる相手じゃない。そういったことを、今回の対局で身をもって知りたい」とコメント。 また「人が、人工知能に勝てないのは当たり前。人工知能は24時間、精進する。お酒も飲まなければ、ゴルフもしない。寝もしない。コンピュータを前にして、人間は勝てるよう努力する。もっと高い次元を目指して勉強するようになるのでは」と説明。人間とコンピュータを混ぜたトーナメントを開催するのもおもしろい、とも提案していた。 このほか「碁の世界では、初段には初段の、五段には五段の楽しみ方がある。ポケモンGOは手にしたその日から、世界中の人が楽しめるが、碁は勉強しないとおもしろくない。こういう碁が強いコンピュータが世の中に出てきたら、アマチュアでも簡単に碁を教えてもらえる」との見方も示した。 対局を前に、プレッシャーや迷いはなく、「ただ楽しい気持ちしかない」と話す名人。しかし、日本棋院が対局の行方を心配している空気を感じるという。「日本棋院から、持ち時間を3時間に延ばしてもらった方が良いんじゃないですか、秒読みも3回じゃなくて5回の方が、対局の日程も間隔をあけた方が良いのでは、などと言われた。いろいろと情報を集めた日本棋院が、どうも俺が勝てないと踏んだらしい。俺がそれで良いと言ったんだから良いんだバカヤロウ、と言い返した」と大笑いしていた。
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