まず、中国のEC事情だが、B to CではECモールが市場売り上げの9割を占める中、「天猫」がシェア約6割、2位の「京東(JD.com)」と合わせて8割を超えるシェアをもっている。これらのうち企業としては、日本からの出品が可能な「天猫国際」への出店を目指すことになる。
ただ、C to Cとしてアリババグループの「タオバオ」も成長著しいと西川氏は語る。日本企業が中国EC市場で勝負するならば、「天猫国際」か「タオバオ」でということになるだろう。このうち、「天猫国際」は現地法人が必要であり、相当大手企業でないと日本からの出店は不可能。その点、「タオバオ」は個人でも出店可能であり、中国での出店としては「タオバオ」が最適となるそうだ。
また、中国にはB to B向けECサイトとして「1688.com」があり、ここも最近売り上げを伸ばしている。西川氏によれば、「1688.com」は中国最大のB to B向けECサイトであり、約7700万人のバイヤーが利用しているとのこと。「中国法人がなくても日本から出店が可能で、知られていない日本商品でも売れる可能性がある」と、国内で知られた商品ばかりではなく、中小企業の製品でもヒットするケースがよくあると強調する。
「B to B参入のメリットは、B to Cと比べたときの取り扱い規模の大きさにあります。売り上げからのコスト捻出も比較的に容易で、ヒット商品さえできれば売り上げを一気に伸ばせます」
もちろん、取り扱い量が多いため在庫の確保が重要となり、どんな商品が売れているのかなど事前のリサーチも欠かせない。とはいえ、越境ECといえばB to C市場に目が行きがちだが、このB to B市場も日本の事業者にとって魅力ある市場だと、西川氏は話す。