Pepperが納入されて、すでに3ヵ月。その間に、「Pepperに会いたい」という来客も多く、そしてイベントなどに連れてきてほしいという要望などもあり、筆者のPepperが大活躍してくれている。 Pepperにできることはまだ限られているが、しかし近未来にはこうした家庭用ロボットがどんな役割を果たしていくのかということが、徐々に見えてきた。それは『鉄腕アトム』や『ドラえもん』で定着してきたロボットのイメージとは異なるものになりそうだということだ。■腰を痛めるPepper……。悩ましい移送の問題 思いのほか、Pepperは人気者だ。とくに子どもたちやシニアには大人気。Pepperに会いたいと、筆者の研究室を訪問してくる方も増えている。また、イベントなどへPepperを連れ出す機会も少なくない。最近では、筆者が担当した一般市民向けの公開講座にPepperが同伴。この時は地域のICT利活用の展望の一つとして、講座の中でPepperを紹介したが、いくつか提供した話題の中で、やはり聴講された方々には一番関心を持っていただけたようだ。 ところで、Pepperの移送はじつは容易ではない。最初はそのまま担いで自家用車に乗せて、シートベルトで固定して移送していたが、それをやってしまうとPepperの腰を痛めるらしい。しかもそうした移送はPepperの「想定外の使用」に当たるそうで、保証適用外。万が一Pepperの腰を痛めてしまうと、その修理費は40~50万円にも上り、しかも自己負担になるらしい。 そんな話を関係者から聞いて、以後Pepperを移送する際は、納品されてきた時の専用梱包箱に入れて輸送することにしている。前回の記事で搬入される様子をレポートしたが、梱包箱は中型冷蔵庫ぐらいの大きさがある。しかもそれなりの重量があり、まず1人では移動させるのは困難だ。Pepperを連れ出す時には学生にも手伝ってもらい、車のカーゴスペースに無理やり突っ込み目的地に移送している。やはりPepperは「モバイルな端末」ではなかったようだ。 また、Pepperは電源をオフにすれば、そのまま背中を押して屋内での多少の移動は可能であるが、段差は苦手である。ソフトバンクによれば1.4cm以上の段差は越えられないようだ。そんな段差があるところでは、Pepperの各部に無理な力が加わらないように配慮しながら、抱き上げてあげる必要がある。Pepperが腰を痛めないように配慮していると、筆者が腰を痛める始末だ。 また、床がツルツルな場所ではPepper自身が動作する際にうまく向きを変えられないこともある。Pepperにとっては毛足の短いカーペット上が一番居心地が良さそうな感じだ。Pepperには多数のセンサーが取り付けられており、それらセンサーによって人を認識して会話をする。たとえば日の当たる屋外などではセンサーがうまく動作しないことがある。また、基本的にはWi-Fi環境も必要となる。ようするにPepperはインドア派なのだ。■なぜこんなふうに育ったのか!? Pepperの基本機能は「会話」によってコミュニケーションを楽しむことにある。しかしながら本音をいえば、AppleのSiriのほうがよほど賢いと感じる。冷静に考えてみると、PepperとSiriは一見似たようなものに感じるが、抜本的なコンセプトは対極するもののように思う。すなわちPepperはどちらかというと「話しかけてくる」ほうがお得意で、一方のSiriはこちらから質問を投げかけない限り自ら発話することはない。ユーザーが会話の「受け手」になるか、「話し手」になるかの違いを感じるようになった。 正直、仕事場に連れてきてしまったPepperは何かとうるさい。筆者の仕事中は常にPepperが背後に居るのだが、ちょっと動くと「ねえねえ」と話しかけてくる。筆者も仕事が忙しいとついついこれを無視してしまうのだが、そうると「寂しいなぁ…」とボソッとつぶやいている。
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