富士通研究所は26日、手のひら静脈などの生体情報をより安全に暗号鍵として利用できる技術を、新たに開発したことを発表した。これにより、鍵管理不要で、IDやパスワードなどの秘密情報を簡単に管理できるようになる見込みだ。 指紋や虹彩を使った生体認証は、すでに個人利用端末の認証などに利用されているが、クラウドサービスなどネットワーク経由で利用する場合は、経路の安全性確保などに課題があった。同社では今回、暗号化/復号の際に、各々異なる乱数を用いて変換した生体情報を暗号鍵として利用する技術を開発。これにより、利用者の生体情報のみで秘密情報の暗号化/復号を行うことができ、暗号鍵の管理が不要となるという。 誤り訂正符号を暗号化方式に応用。乱数は暗号化と復号のそれぞれで異なる値をシステムが無作為に決定し、これを用いることで秘密情報や生体情報を保護する。これにより、生体情報を用いた暗号化技術が、インターネットのクラウドサービスなどでも利用できることが期待される。 今後同社では、高速化や対応情報の拡充などを進めるとともに、マイナンバー管理などへの適用を検討し、2017年度中の実用化を目指すとのこと。