iPhoneのカメラは、ここのところしばらく800万画素のままだったが、今回の6s/6s plusでは遂に1,200万画素へステップアップを果たした。カメラ周りの撮影クオリティや操作性を中心にiPhone 6と比べてみた。
撮れる写真は、明らかにiPhone 6よりも精彩感が高く、ディティールの情報量が豊富だ。同じ夜景を撮影してみると、画面全体の明るさそのものはiPhone 6も十分に得られているのだが、iPhone 6sでは明部ピークの白飛びや暗部の黒つぶれが抑えられ、それぞれに被写体の持っている色合いや細かい質感もきちんと描かれるようになる。
夜景も目で見ている情景により近くなる印象だ。なお、従来のiPhoneと同じく、12MP/4対3以外に画質や画角の選択はできず、撮影前にマニュアルで画質を細かく追い込むような機能も無い。つまり、HDR撮影機能も含めてユーザーがあれこれ画質設定について悩むことなく、手軽にベストショットが撮れるカメラをiPhoneは追求しているというわけだ。
今度のiPhoneから4K(3,840×2,160)解像度の動画撮影が可能になった。画質設定は「設定」アプリから「写真とカメラ」の中に入って「ビデオ撮影」より4K/30fpsを選ぶ。動画撮影時には画面に「4K」の表示が現れる。
4K撮影時の動作はスムーズで、撮れる映像も切れ味に富んでいる。撮った4K動画はiMovieアプリを使ってiPhone単体で編集もできる。なお、iPhoneで撮影した4K動画を大画面テレビなど外部ディスプレイで観たい場合は、いったんPCに転送してから出力する。
1分間の撮影で、ファイルサイズが約375MBにもなるので内蔵ストレージの残量には常に配慮が必要だ。もしiPhoneでビデオを頻繁に撮影するユーザーであれば、内蔵ストレージの大きいモデルを選ぶ必要があると思う。
いずれにせよ、4K動画のファイルはサイズも大きいので、定期的にバックアップしながら本体からはどんどんと消去しておかないと、あっという間に内蔵ストレージがいっぱいになってしまうだろう。
4K画質の動画を約5分ほど撮影してみても本体が異様に熱を持つこともなく、途中で撮影が中断されることもなかった。4K動画撮影時に静止画を同時記録することもできるが、この場合は切り出される写真のサイズが3,840×2,160画素/16対9になる。
6s/6s plusから新しく加わったカメラ機能に「Live Photos」がある。静止画を撮影する感覚で、1度のショットボタンで約3秒の音声付き動画を撮るという機能だ。再生はiPhone上で行うことができ、3D TouchのPeekによるプレビューにも対応している。
PCにもQuickTime形式の動画ファイルとして取り込んで再生できる。この類のトリック撮影機能は従来からビデオカメラやコンパクトデジタルカメラにも搭載されてきたものだが、iPhoneで手軽に撮影してSNSにアップできるようになればクリエーションの幅が広がるだろう。
ほかにもFaceTimeカメラでのセルフィ撮影時に、iPhoneのディスプレイをフラッシュとして使える「Retina Flash」の機能が新設された。使い方は簡単で、インカメラ撮影時にフラッシュの設定をオンにして撮影するだけ。
シャッターが切られる瞬間にiPhoneの液晶が強めに全点灯して、暗いところでも明るいポートレート写真が撮れる。筆者も試してみたが、どうしても画面をのぞき込んだ姿勢で構えてしまうため、メガネにiPhoneの四角い画面が映り込んでしまう。顔の向きなどポージングには気配りが必要だ。
■使い込むほどに進化を実感。“新しい方”を選ぶ価値はありそうだ
カメラ機能のほかにも音楽再生のサウンドを、6sと6で聴き比べてみた。同じApple Musicの音源を再生。iPhone 6sは3D Touchの機能により、ホーム画面のミュージックアプリのアイコンをPopして、直近で試聴したApple Musicの楽曲をすぐに再生したり、Beat1のラジオや楽曲検索に飛べるメニューが表示される。
音質は新しい6sの方が全体のバランスが良くなったように感じた。とくに中低域の見晴らしがよりクリアになって、ボーカル系の楽曲は声の音像がよりクリアになり、センター位置の定位がさらに明瞭になった。クラシックやジャズなど生楽器系の演奏は音色の違いがはっきりと現れるのでリアリティも一段と高まるだろう。
iPhone 6sの新しい機能を試してみると、一つ一つに前機種からの着実な進化を感じることができる。筆者は本音を言うと、今回レビューする前まではiPhone 6sの購入を見送るつもりだったが、今は積極的に買い換えを検討し始めた。
カラバリの選択はやはりスペースグレイが最有力か。フロントパネルのベゼルがブラックなので、Netflixなど動画配信コンテンツを観る際には没入感がいっそう高くなるからだ。あとは内蔵ストレージの容量をじっくり検討して決めたい。
【iPhone 6sで撮影した4K動画】
【iPhone 6sで撮影したLive Photosの動画】