藤井動物病院と整形外科専門獣医師グループのONE for Animalsは8日、犬の特殊な整形外科症例を、3Dプリンタモデルを使い術前計画と模擬手術を行うことで、手術の時間短縮に成功したことを発表した。 従来、犬の前腕に重度変形が生じた場合には、骨切り変形矯正が必要となるが、一回の手術で元に戻すことがきわめて難しかった特殊なケースがあった。今回、3Dプリンタモデルで「変形点が複数ある前腕の矯正手術」を正確に実施。変形矯正の困難な症例を正確かつ大幅な時間短縮をもって成功させることができたという。 具体的な症例は、イタリアン・グレーハウンド(4.6kg、1歳)を対象に、右側橈尺骨(前足の手首の上の骨2本)骨折を手術。CT撮影したものを3次元の画像にした後、3Dプリンタで実物大の骨の模型をつくり、矯正を計画し、実骨切り時には、模擬手術で使用した3Dプリンタモデルで骨切り線を確認しながら実施した。手術時間は、切皮よりプレート固定まで40分(消毒・縫合時間を除く)となっている。 なお、この症例は、2014年の日本小動物獣医学会(関東・東京)の地区学会長賞も受賞している。