ファッションとカルチャーの融合を掲げるファッションブランドのPIITが、新たなモチーフに赤塚不二夫さんの傑作マンガ『天才バカボン』をピックアップした。しかも、デザインに引用されるのは、バカボンのパパでも、バカボンでもなくカメラ小僧である。カメラ小僧は、作中で生臭いつむじ風とともに高速回転で現れる。決定的瞬間を狙う事件写真専門のカメラマンだ。おまわりさんの天敵としても知られている。独自の視点が特徴のPIITらしい切り口だ。現在発表されているアイテムは、カメラ小僧モチーフにしたポップなアイテムに仕上がっている。実験的でシュールな展開も多かったマンガ原作と同様に、一見コラボ商品とは思えない斬新なデザインばかりだ。ぐるりと胸を一周するドット柄はカメラ小僧の目を再現した。判る人だけ判る挑戦的なデザイン。袖口を裏返すと、くるくると回転しているカメラ小僧のイラストが登場する。ファッションとして日常的に着用できる機能性を備えている。色はホワイトとブルーの2種類、サイズはM/L/XLの3種を用意する。価格は7980円で、PIITオンラインショップにて販売している。PIITはPrime field(素体)、Identity(アイデンティティ)、Interaction(相互作用)、Traditional(伝統)を頭文字にして命名された。作品の持つ世界観とアーティストが伝えたいメッセージを、ファッションというフィルターを通してストレートに発信するブランドだ。『天才バカボン』だけでなく、これまでも様々なアニメやマンガとコラボレーションをしてきた。『ドラえもん』、『パーマン』、『キテレツ大百科』などの藤子・F・不二雄作品や、手塚治虫の『ジャングル大帝』、さらに『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげるが生み出した妖怪を題材にしたものまで存在する。いずれも普通のコラボファッションとは異なったユニークな、一見では判り難い個性が楽しめる。[高橋克則]