障害がある人たちにとって、スマートフォンやタブレット端末は災害時に命を守る道具にもなるうる。 東日本大震災において、障害者の死亡率は健常者に比べ高い割合だったことが知られている。調査機関や手法によってその率はまちまちであるが、およそ1.2倍から2倍とも言われている。被災地では障害者の入所施設が市街地から離れた高台などにあったケースも多いが、もしそうした施設が沿岸市街地にあった場合はその率はさらに高いものになるかもしれない。視覚や聴覚に障害を持つ人たちが津波の警報などに気づかずに危険にさらされる懸念は極めて高いと言えそうだ。 被災地における聴覚障害者の具体的な声として、「地震があったことはわかったが、それに伴って職場の健常者がみんな帰ってしまった。耳が聞こえないので、周囲の人が何をしているのかわからず、仕方ないので戸締まりして帰った」「避難所に入っても、音声による連絡では状況がわからず、食事をもらえなかった」「そもそも防災無線は聞こえない」など、こうした話は山ほど聞ける。 身体の障害の有無にかかわらず、誰でもが同じように情報にアクセスできれば、万が一の際の情報収集やコミュニケーションに役立ち、自分自身の命を守る行動を迅速に取ることができるはず。こうした被災地における障害者の情報アクセスへの現状を目の当たりにした青森県企画政策部情報システム課主幹の大和田敏氏は、「1人1台まで普及を果たしている携帯電話やスマートフォンを使うことで、障害者でも必要な情報にアクセスできるはず」と考えた。「東日本大震災の悲劇を繰り返さないためにも、社会における弱者と呼ばれる人たちを含む誰でもが情報にアクセスできるようにサポートしたい。ICTはそういうところで力を発揮すべきではないかと思うのです」(大和田氏)
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