理化学研究所 放射光科学総合研究センター(理研 放射光センター)は10月1日、X線自由電子レーザー施設「SACLA」(サクラ)が、「2013年度 グッドデザイン賞」を受賞したことを発表した。「グッドデザイン・ベスト100」にも選出されたとのこと。 X線自由電子レーザー施設「SACLA」は、ナノ(nano)より小さい「ピコ(pico)」単位の世界を見ることができる、世界最先端施設だ。2011年2月からビーム運転を開始し、わずか3か月の調整運転で波長0.12ナノメートル(1.2オングストローム)のX線レーザーの発振に成功。その後、順調に調整を進め、現在では、世界でもっとも短い波長となる63ピコメートル(0.063ナノメートル)を達成している。直線型の加速器を利用したX線自由電子レーザーで、波長0.1ナノメートル以下を実現したのは、「SACLA」が世界初とのこと。X線を使った“巨大な顕微鏡”として、原子や細胞レべルも観察できることから、生命の神秘の解析や、医療の発展の研究などに貢献している。 また、「SACLA」は、日本独自の技術によって非常にコンパクトに設計されており、海外施設と比べて、3分の1から4分の1の小型化(全長700m)を実現している。受賞の理由においては、類似の他施設では3kmから4kmという巨大なサイズになるのに対して、700メートルという、飛躍的にコンパクトな設計において実現された観測施設であることが評価された。同時に、「人類の知的活動の発展を担う、デザインという範囲を超えた未来を担うプロジェクトであること」が高評価を得たという。 理化学研究所放射光科学総合研究センターの石川哲也センター長は、SACLAをグッドデザイン賞に応募することについて、さまざまな議論があったことを明かすとともに、「関係者一同この受賞を真摯に受け止め、着実に『人類の知的活動の発展』に貢献していくよう、一層の努力を重ねていく所存でございますので、今後とも皆様のご支援をいただけますよう、お願い申し上げます」とのコメントを寄せている。
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