■デスティネーションスパのトレンドと問題点 三井情報 総合研究所R&Dセンター スパ専門家の丸山智規氏によると、サロン型スパ、リゾートホテル型スパ、デスティネーション型スパ、メディカルスパなど、スパから得られるレベニューは全世界で5兆円規模となっているという。 デスティネーションスパというのは滞在型スパのことだが、最近のトレンドは旅先での心身の癒しによって日常から解放され、自然によってもたらされる健康美や体質改善を追求するもの。体質改善のための指導や施術、あるいはそれを体験させるものやプロダクトも価値を付加する。例えば「星のや」は“養生”をテーマにしている。「星のや 軽井沢」では、食事療法士の指導が行われ、スパトリートメント、温泉、アクティビティなど滞在期間全体を通じてライフスタイルを見直す「森林養生」という特別プログラムを導入している。 これらデスティネーションスパは、スパそのものの収益を狙っている。現在、スパを導入しようとしている高級温泉旅館は、目的が集客か収益なのかを経営上考えなければいけない、と星野氏は話す。ホテルのもともとの収益が良くなるのか、もとの収益はおいといてスパで追加の利益がでるのか? また、別の課題としては人件費を挙げる。メディカルツーリズムは、自国で受けると高いサービスが他の国に行くと安く受けられる。星野氏によると「例えば、米国人が歯をインプラントしたいと思った場合、メキシコのカンクーンまで行くと、同じ質のインプラントがはるかに安くできる」「デスティネーションスパも、もしかしたら、そういう要素がありうるかもしれないと考えなければいけない」。日本は人件費が高い。それは僻地になっても変わらない。 星野社長は異業種の人を集めて、デスティネーションスパの在り方について意見交換を行っている。同社では、年末デスティネーションスパをリリースする予定だ。