高性能化が進むスマートフォンにとって、ハイスペックであることは重要な要素だが、それだけではもはや大きな魅力にはならない。きちんと使い勝手の良さが伴ってこそスペックも活きてくる。今回は、1.7GHzのクアッドコアCPUと5.2インチのフルHD液晶をベースに、防水、フルセグ対応など、まさに“全部入り”の最高峰と呼べるドコモの夏モデル、ARROWS NX F-06Eを実際に使って、その実力をチェックした。■ハイスペックを支える使い勝手 さて、いわゆる“全部入り”の端末だと、まずはフルセグなどの最新機能が目につくが、実際に使ってみると、もっとも魅力に感じるのは細かな機能面だ。 なかでも大きいのは指紋認証の恩恵。大型液晶を搭載するスマホは、必然的に端末も大型化する。5インチクラスともなると、私のような男性でも画面の端まで指が届かなくなるため、片手での操作は難しくなる。特にわずらわしく感じるのがロック解除だ。スマホで主流になっているパターン入力によるロックの場合、画面いっぱいに指を動かす必要があるが、大型液晶端末では両手操作を要求されがちだ。頻繁に使うだけに、これが意外と面倒だったりする。 これを一発で解消してくれるのが、指紋認証だ。ARROWS NXの場合、背面にセンサーを搭載しており、さっとなでるだけで認証できる。持ち方にもよるが、人差し指あたりを登録しておけば、普通に持ったまますぐにロックが解除可能になる。 また、富士通が培ってきた「ヒューマンセントリックエンジン(HCE)」の各種機能も使い勝手を向上させてくれる。HCEは、いわゆる独自の便利機能の総称で、ブルーライトを約30%カットするモードなどが搭載されている。なかでも便利なのが、「ふせたらサウンドオフ」機能。 これは着信などがあったときに液晶を下に向けて伏せると、自動的に着信音がオフになるというもの。オフィスと外出先を頻繁に行ったり来たりするような場合、ついマナーモードにするのを忘れて、電車内などで不意に着信音が鳴ってしまうという経験をしたことがある人は多いだろう。そんなとき、パッと液晶を下に向けて伏せるだけで音を消すことができる。■大型ディスプレイを支える“電池のもち” さて、実際に持ち出して使ってみると実感するのが、バッテリー容量の大きさ、すなわち“電池のもち”だ。現在のスマートフォンの場合、同世代のハイエンド機は2000mAh前後のバッテリーが一般的だが、ARROWS NXは3020mAhと大容量バッテリーを搭載している。 本機のバッテリー使用量の詳細を見るとわかるが、スマートフォンでは液晶自体がかなりの電力を消費する。今回のテストでも、全体の約2~4割が液晶による電力消費であった。端末によっては、取り立てて高負荷な作業を行っていなくても、ブラウジングやメールチェックなど、画面を表示しているだけで、案外バッテリーを消耗してしまい、途中で充電しなければ1日もたないということも考えられる。
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