「Wnn」というシステムをご存じだろうか。一定の年齢以上のエンジニア、とくにUNIX系の開発に携わっていたエンジニアなら知らない人はいないだろう。1980年代後半、UNIXシステムの開発者、研究者コミュニティでは、ワークステーション向けで連文節変換が可能な日本語入力システムとして高い評価を得ていた。 Wnnの最初のバージョンは、京都大学、慶應義塾大学、立石電機(現オムロン)、アステック(現アールワークス)によって開発され、UNIX、Linux系の日本語入力システムとしてはもちろん、携帯電話やスマートフォン、ゲーム機向けの日本語入力システムとして多くの端末ベンダーやゲーム機ベンダーが利用している。オムロンは、組込み機器向けのWnnをこれらのベンダーに提供している。 さて、スマートフォンやタブレットの開発だが、アプリケーションにしろWnnのようなミドルウェアにしろ、多様な機種ごとの作り込み(カスタマイズ)、端末サイクルの短縮などが現場の課題として浮かび上がっている(もちろんコスト競争力という課題も依然として大きな存在だが)。テストやデバッグを効率化しようにも、製品の仕様が細部で異なるため、画一的なデバッグは困難である。さらに、製品のリリースサイクルありきの開発スケジュールが、エンジニアに重くのしかかっている。にもかかわらず、携帯電話やスマートフォンのような、利用者の幅が広く要求仕様を絞りにくい製品の場合、パフォーマンスなどソフトウェアの品質管理も重要課題のひとつだ。 使いにくい、反応が遅い、安定しない、といったトラブルに一般のユーザーは過敏に反応する。オムロンでは、さまざまな悪条件の元、性能や品質を落とさず、他のアプリに干渉したりパフォーマンスに影響を与えることのない開発を実践するため、開発プロセスの中でコードレビューや静的解析を重要項目と考えている。静的解析には、コードに潜むバグや問題点検出するだけでなく、コーディング基準を満たしているか、パフォーマンスを落とすような処理はないか、エラー処理や例外処理をはしょっていないか、といったコードの品質評価を行うという目的もある。 バグが少ないということは品質が高いということでもある。静的解析によってコードを実行前に評価することは、デバッグ効率や品質管理にとってプラスになるはずだ。多数のモジュールが複雑に影響しあう大規模開発においては机上デバッグはツールに頼らざるを得ない。そのため品詞管理においても静的解析ツールは必須といってもいいだろう。 コーディングルールを守って、品質検査をクリアしたコードは、その後の改修やバージョンアップもしやすくなるはずである。基本モデルから、機種ごとのカスタマイズのような作業でも、ベースとなる基本モデルのコードが一定の基準を満たしていれば、派生システムのコーディングも該当箇所の切り分けがやりやすいはずだ。 オムロンによれば、スマートフォン等の日本語入力システムの開発に、静的解析を積極的に取り入れているという。★静的解析ツール導入事例(コベリティ):オムロンダウンロード URLhttp://expotoday.com/event/1025/booth/29263
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