福島原発の5号機と6号機の原子炉建屋などに貯まった滞留水を、環境浄化装置によって濾過し、放射性物質を取り除いた後、原子炉北側の伐採木の上に散水する作業が、7日14時6分から始まった。東電によると、滞留水は「津波による海水や雨水などが流入したもので、もともと放射性物質をほとんど含んでいない」という。5号機と6号機は地震発生時に定期検査中であり、3月20日に冷温停止状態になった。敷地に散水する滞留水は、そのわずかな放射性物質も環境浄化装置で放射性物質を除去し、さらに滞留水を逆浸透膜法による淡水化装置で塩分を取り除いた。福島原発では、屋外仮設タンクの設置など事故対応の作業面積を広げるために敷地内の森林伐採を行ったため、その伐採木の自然発火や粉じんの飛散防止を目的に散水を行う。少量だが一部は洗車に使い、そのほとんどは120万平方mの中に野積みされた伐採木に、消防車を使って放水される。散水総量は1万7000t。「1日100tを予定しているので単純計算で170日。天候や人員の手配の兼ね合いもあるので、実際はそれ以上かかると思う」(松本純一原子力・立地本部長代理)散水の目的は、タンクの容量を減らすことにもある。これらの滞留水は屋外の仮設タンクに9900立法m、海上のメガフロートに7200立法mが保管されている。運用上の貯水限度の7~8割程度まで迫っている。散布される水は、環境省が海水浴などで人が利用する水浴場のガイドライン以下で「放射性濃度という意味ではきれいで環境への影響はない。一部は地下に流れることも考えられるが、とくに大きな影響はない」(松本氏)という。塩分除去後の滞留水の核種分析の結果、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137すべてが検出限界未満だった。