慶應義塾大学の電動フルフラットバスが、8月23日に神奈川県藤沢市で試乗会を行った。腰の低いボディ、前後4輪ずつの8輪車という、既存の国産バスとはまったく異なるパッケージングがまず目を引くが、同大学電気自動車研究室教授の清水浩氏は、構造面でも斬新さにあふれていることを試乗中に解説した。「ボディは軽量化を図るためにオールアルミ製としました。国内では調達できない素材もあったので、それらについてはヨーロッパから輸入しました。ちなみにボディパネル内には、エアコンによる電力消費を抑えるために、断熱材を入れてあります」車内の雰囲気も既存のバスとはまるで違う。床は前から後ろまで低く、窓は低い位置から大きく広がっている。白い壁、ライトグリーンのシートや手すりのおかげもあって、とにかく明るい。「クッションが薄いシートは、ヨーロッパの路線バスに使われているタイプを用いています。ただしこちらについては日本人の好みに配慮して、クッションを少し厚くしています、サイドウインドーはポリカーボネイト製ですが、これは軽量化と断熱性能を考えた結果です」インホイールモーターやコンポーネントビルトイン式フレームなど、独創的なメカニズムに注目が集まりがちな慶大電動バスだが、パッケージングやマテリアル、デザインについても、文字どおり目を楽しませてくれる存在だった。