公正取引委員会は2日、ヤフーが米グーグル(Google)社から検索エンジンなどの技術提供を受けることについて調査を重ねた結果、「独占禁止法上問題となるおそれがある行為を行っている具体的な事実は認められなかった」とする報告書を公開した。 ヤフーが米グーグル社から検索エンジンおよび検索連動型広告システムの技術提供を受けることについて、両社に対し「独占禁止法上問題となるものではない」と回答していた。ただし本件技術提供によって、日本国内における検索エンジン等の技術の約9割が米グーグル社のものとなることなどから、本件技術提供が両社の説明どおりに実施されない場合には、大きな影響を与える可能性があることも指摘。独占禁止法第45条第1項に基づく申告を含め、他企業など多方面から意見や情報が寄せられていることもあり、公取委では、回答後も、本件技術提供の実施に向けた進捗状況等について、両社への聴き取りおよび第三者からの意見聴取などで、調査を行っていた。 調査のポイントは、「自社(ヤフー)にとって最適であると判断して本件技術提供を受けることとしたと認められるか」「本件相談時の説明どおりに実施に向けて進捗していると認められるか」「その他独占禁止法上問題となるおそれがある行為が認められるか」の3点。 ヤフーは、これまで米ヤフー社から検索エンジン等の提供を受けていたが、2009年7月、米ヤフー社は、自社の検索エンジンの開発を停止する方針の下、検索エンジンの提供をマイクロソフト・コーポレーションから受けることを決定した。このためヤフーは、米ヤフー社以外の検索エンジンを選択する必要に迫られ、マイクロソフト・コーポレーションの検索エンジンを特に詳細に調査したが、性能および提供時期から採用に至らなかったとしている。このため、米グーグル社の検索エンジンが最適であると判断したヤフーの依頼に応じて、米グーグル社が検索エンジンを提供したものであると認められたという。 そのほかの調査結果からも、独占禁止法上問題となるおそれがある行為を行っている具体的な事実は認められず、公取委は、現時点において独占禁止法上の措置を採るべく引き続き調査を行う必要はないと判断した。ただし今後も、「本件技術提供について引き続き注視することとし、独占禁止法に違反する疑いのある具体的事実に接した場合は、必要な調査を行うなど、厳正に対処する」としている。
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