セキュア・マルチテナントという用語が気に入るかどうかは別として、クラウド環境におけるデータ・セキュリティについては、多くの企業が懸念しています。この記事では、MultiStoreに安全性を実現しているテクノロジを検証し、NetApp Data Motionについて説明するとともに、一般的な用途をご紹介します。なお、Tech OnTap今月号の関連記事では、VMwareおよびCiscoのテクノロジをNetApp MultiStoreと組み合わせた、エンドツーエンドのセキュア・マルチテナント・アーキテクチャにおけるQuality of Service(QoS:サービス品質)についてご紹介しています。
MultiStoreは、その独自設計によりNetApp Data Motion(ストレージ・システム間でのNFSまたはiSCSIデータ・セットの無停止での移行)をサポートすることが可能です。NetApp Data Motionを使用すると、vFilerユニット全体を1つのストレージ・システムから別のストレージ・システムに、継続中のアクティビティを停止せずに移行することができます。VMware VMotion、XenServer XenMotion、Microsoft Hyper-V Quick Migrationが仮想マシンに対して実行することを、NetApp Data Motionはデータに対して実行し、仮想マシン(VM)の移動と同じように、データの移行を容易にします。これらのサービスとNetApp Data Motionを組み合わせると、インフラのあらゆるレイヤにモビリティが提供され、負荷分散や無停止アップグレードなど、データセンターのさまざまなニーズに対応することができます。
MultiStoreのセキュリティ機能は、テナント・データの移行中もセキュリティの劣化を防止します。移行またはカットオーバー・プロセス中に同期SnapMirrorを使用して、ストレージ・システム間でデータ・セットを同期します。NetApp Operations Managerバージョン4.0とProvisioning Managerアドオンを使用すると、NetApp Data Motionプロセスおよびクリーンアップを自動的に実行できます(図2)。
執筆者:敬称略
Roger Weeks NetApp テクニカル・マーケティング・エンジニア Rogerは2007年にNetAppに入社し、ストレージ・セキュリティを担当しています。NetAppに入社する以前は、システムとネットワーク関連の業務でさまざまな役職を歴任してきました。ここ数年は、ワイヤレス、サービス・プロバイダ、ストレージに対するセキュリティを専門に活動しています。Rogerには『Linux Unwired』、『Wireless Hacks, 2nd Edition』など、数冊の著作(共著)もあります。
Paul Feresten NetApp シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャー Paulは2005年にNetAppに入社し、Data ONTAP、MultiStore、FlexClone、シン・プロビジョニングなどNetAppの主要ソフトウェアを担当しています。この業界で30年以上にわたってプロダクト・マネジメント、営業、マーケティング、経営に携わってきました。NetAppに入社する前は、Data General、Digital Equipment Corporation、MSI Consulting、SEPATONに勤務していました。