目玉となったのは、国内で初公開するというエンタープライズ・コラボレーションツールの「Salesforce Chatter」だ。現在、500社がベータ版を、国内でも15社がベータ版を使っているという。
CRMやその他のエンタープライズソフトウェアでSNSなどを、戦略的に活用していくのは現在の流行といえる。顧客動向やマーケティングツールに利用しながら、営業戦略に取り入れていく。モバイル、特に今後爆発的に普及すると思われるスマートフォンにこれらツールが標準搭載されリアルタイムでコミュニケーションされるようになると、その重要性はますます高まっていく。
今回紹介された「Salesforce Chatter」では、同僚の近況や、プロジェクト、商談などの状況をリアルタイムで確認することが可能になる。Facebookライクの親しみやすい画面で、人とのつながりを実現することが可能だ。重要なのは、つながるのは人だけでないということだ。企業内にあるドキュメントやアプリケーションもヒモ付けることができる。これにより、プロジェクトに不可欠だと思われる情報を簡単に見つけることができる。
ヴィーネンダール氏は「今日は、アプリケーションサービス、ドキュメントなど情報が企業内にあふれているが、きちんとアクセスし把握するのが難しい。情報がそこにあるのに活用することができない困難な時代だ」として、これにより例えば、顧客のキーパーソンと面識がある同僚が社内にいるかもしれないのに、失注後にその事実を知ることになるなど、企業にとってビジネス機会を失う恐れもあることを指摘。また、Facebook、Twitterなどが普及し、顧客もリアルタイムのフィードバック、レスポンスを期待している現在では、リアルタイムで情報を活用することができなければいけない重要性を挙げた。「Salesforce Chatter」は、こられのコラボレーションを実現するとともに、リアルタイムコミュニケーション情報活用ができるツールであるとした。
これまでもコラボレーションツールといわれるものは存在していた。しかし氏は、それらがリアルタイムの環境に合っておらず、プッシュ技術を十分に活用していなかったと指摘。「SharePointで情報を共有することはできるが、何千というSharePointのデータがあったとしても、いったいどこにその情報があるのかということがわからない。もっとスマートな方法が必要だ」と話した。
「Salesforce Chatter」は、プロファイル、ステータス更新、グループ、ドキュメント共有、アプリケーション更新、フィード、FacebookやTwitterとの連携、AppExchangeなどの機能を提供する。
同社はSNSやモバイルデバイスのクラウド展開を“Cloud 2”としているが、「Salesforce Chatter」はその戦略的な位置づけとなる。