まずはアクセスインフラとしての観点から整理したい。結論から言えば、現状のアクセスインフラとしてのHFC(Hybrid Fiber Coax)は、現在予見しうるサービスを前提とした場合、FTTHと十分対抗可能な能力を有していると考える。アナログ多チャンネルとデジタル多チャンネルが併存する状況下においても、プライマリ電話、ビデオオンディマンド(VoD)、DOCSIS3.0(Data Over Cable Service Interface Specification version 3.0の略。米国ケーブルラボが定めるデータ通信のためのインターフェース仕様のこと。従来のDOCSIS2.0は1チャンネルで最高下り30Mbps/上り10Mbpsの通信を実現していたが、DOCSIS3.0では複数チャンネル(現状は4チャンネルの想定)を束ねる技術を導入することで100Mbps超のサービス提供が可能となる)などの超高速インターネット接続サービスが提供可能である上、デジタル移行完了後には空き帯域をHDチャネルの拡大、VoDやインターネット接続サービスのさらなる高速化等の新たなサービスへの割当が可能となる。また、戸建て、集合住宅を問わず、多くの既存住宅の宅内配線をそのまま活用できる点もエコノミクスを考える上で強みであると言えよう。一方、相対的な弱みとしては、上り利用帯域の制約並びにメンテナンスコストの高さが指摘できる。