独立行政法人 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センターは17日、帝人の協力を得て、非シリコン系材料であるCIGS薄膜を用いたフレキシブル太陽電池において、エネルギー変換効率を飛躍的に高める技術を開発したことを発表した。 銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料「CIGS」を用いた太陽電池は、(1)変換効率が高い、(2)経年劣化がなく長期信頼性が高い、(3)黒一色で意匠性に優れる、(4)耐放射線性に優れ宇宙空間など特殊な環境にも対応できるなど、優れた特長を持つ。また、エネルギーペイバックタイム(EPT)はおよそ1年と多結晶シリコン太陽電池の約半分程度であり、低コスト化も期待できるもの。 産総研では、今回セラミックス、金属箔、ポリマーなどさまざまなフレキシブル基板を用い、高性能な太陽電池を作成、効率17.7%を達成したとのこと。従来はフレキシブルCIGS太陽電池の高性能化は困難とされていたが、今回、新しいアルカリ添加制御技術の開発、およびポリマー基板の新しいハンドリング技術の開発を行い、フレキシブルCIGS太陽電池のエネルギー変換効率を大幅に向上させたとのこと。 CIGS太陽電池は、光電変換層の厚さを数μmと薄くできるため、今後はこの利点を活かし、曲面への設置や持ち運びが可能な、軽量でフレキシブルな太陽電池への応用が期待されている。 本研究成果は、第4回産業技術総合研究所太陽光発電研究センター成果報告会(7月28日〜29日@日本科学未来館)、および第23回欧州太陽光発電国際会議(9月1日〜5日@バレンシア)で発表される予定。