NET&COM 2007の会場内に設置されている「ネットワーク最前線2007」ブースでは、さまざまな企業による次世代ネットワーク「NGN(Next Generation Network)」関連の展示やデモが行われている。 ノーテルネットワークス(以下ノーテル)と日本IBMが同ブースでデモを行うのは、携帯電話によるマルチプレイヤーゲームのプレイだ。それだけなら、今どき、どのキャリアの携帯電話でもできそうなものである。 実はこれ、その裏側、つまり見えない部分にNGNのコア技術とも言われているIMS(IP Multimedia Subsystem)とSDP(Service Delivery Platform)が利用されているのである。 IMSとは、従来の固定電話網や移動体通信網、放送網などをIP化するための規格だが、このデモでは、携帯電話のローミングサービスをIP化している。 SDPとは、サードパーティであるアプリケーションサービスプロバイダが、通信事業者の回線を容易に利用できるように定めた開発基盤であり、このデモに使われるゲームサーバはSDPに基づいて開発されたものだ。 ブースに用意されているのはオーストラリアの電話会社で契約したSIMカードが挿入された2台の携帯電話。このうちの一方から国際ローミングにより、ソフトバンクモバイルの3Gネットワークを通じてフランスのモンペリエにあるIBMの研究所に設置されたSIPサーバに接続。このときユーザの情報はHSS(Home Subscriber Server)というサーバに登録される。HSSは、携帯電話やPHSなどがローミングを行う際に使われるHLR(Home Location Register)をIP化したものだ。 続いてユーザの状態検知と通知を行うプレゼンスサーバに登録し、現在接続中のユーザリストを取得する。そして、リストの中からゲームに誘いたいメンバーを選ぶ。 さらにSDPに準拠したゲームサーバに接続して、ゲームリストを取得し、プレイしたいゲームを選ぶ。 すると、もう1台の携帯電話にゲームに招待されている旨のメッセージが表示される。もちろんフランスのSIPサーバを経由してソフトバンクモバイルの3G通信網を経由して呼び出されるわけである。 呼び出されたユーザがこれに応じることで、めでたくマルチプレイヤーゲームが開始されるという仕組みだ。 中身を知らずにデモを見ると、大したことないように見えてしまうが、携帯電話網と国際ローミングを使いながら、すべてがIP化されているところが大きなポイントとなる。 ちなみに、このデモでプレイするマルチプレイヤーゲームは、TERRAPLAYが提供するレーシングゲーム「Raging Thunder」。