マイクロソフトは21日、Windows Vistaでのセキュリティへの取り組みの状況を説明するプレス・ラウンド・テーブルを開催した。マイクロソフトに加えてソースネクスト、トレンドマイクロ、日本エフ・セキュア、日本CA、マカフィーの5社のセキュリティ・ソリューション・ベンダーが顔を揃え、Windows Vistaでは業界一丸となってセキュリティの向上に取り組んでいくことをアピールした。 まず挨拶を行なったマイクロソフトのWindows本部 本部長のジェイ・ジェイミソン氏は、「マイクロソフトにとって、PCやサーバにより優れたセキュリティを提供することが開発上の最優先事項となっている」と語り、セキュリティ重視の姿勢を明らかにした。さらに、「マイクロソフトとWindowsチームは、顧客が求める完全なセキュリティ・ソリューションを提供するためには、自社単独ではなく、業界全体の力を結集することが必要だと理解している」と語り、セキュリティ・ベンダーが一堂に会した今回のイベントの意味を説明した。 続いて、Windowsを取り巻くセキュリティの状況について、同社のセキュリティ戦略グループ シニアマーケティングエグゼクティブの瀬川 正博氏が説明し、「セキュリティ・リスクの性質が、従来の技術力誇示型から、実質的な利益を狙ったプロフェッショナル型に変化している」などを明らかにした。 現在Windows Updateを使って定期的に配信/実行が行われている「Windows悪意あるソフトウェアの削除ツール」の実績も紹介された。これによると、2005年1月から2006年3月までの15か月間に全世界で27億回実行され、570万台のコンピュータから1,600万のマルウェアを削除したという。さらに、570万台のうちの350万台(62%)はバックドアに感染しており、78万台(14%)では、感染を隠蔽するための「ルートキット」にも感染していたという。ユーザーが気づきにくいマルウェア感染手法が使われるようになっている現状と同時に、マイクロソフトの取り組みによって、ユーザーのPCが保護されたという成果でもある。 また、マイクロソフトのセキュリティに関する取り組みとして、「セキュリティ開発ライフサイクル」の概要も紹介された。「設計からリリース後の対応まで、あらゆる局面でセキュリティを意識した取り組みを行なうセキュリティ開発ライフサイクルは、既にWindows 2003 ServerやOffice 2003、SQL Server 2000 SP3などで成果を挙げている」というが、「Windows Vistaが開発の最初の段階から完全にセキュリティ開発ライフサイクルにのっとって完成する最初のOSになる」とアピールしている。 市場全体の状況説明に続いて、各社がそれぞれ自社製品での取り組みについて紹介した。まず説明を行ったのは、再び登壇したマイクロソフトのジェイ・ジェイミソン氏で、Windows Vistaのセキュリティ機能に関して説明を行った。同氏は、「2007年のセキュリティ ユーザーの懸念」として、コンシューマ・ユーザーについて・自分は安全なのだろうか?・家族や子供は大丈夫なのだろうか?・ずっと安全で居られるのだろうか?の3点、ビジネス・ユーザーについても・自分たちは安全なのだろうか?・コンプライアンスへの対応は?・データは安全に保管できるのか?の3点をそれぞれ挙げた。そして、その懸念に対応するWindows Vistaの機能として、コンシューマ・ユーザー向けに・Windows Defender、Windowsセキュリティセンター、フィッシングフィルタ・保護者による制限・バックアップと復元センタービジネス・ユーザー向けには・ユーザーアカウント制御(UAC)・ローカルセキュリティポリシー・BitLockerといった機能をそれぞれ紹介した。 続いて、ソースネクストの経営企画室執行役員の小島智彰氏、トレンドマイクロのコンシューマビジネス統括本部 統括本部長 バイスプレジデントの沢 昭彦氏、日本エフ・セキュアの営業部 部長の長澤 守洋氏、日本CAのSMB&コンシューマ事業本部プロダクトマネージャーの高田 徹氏、マイクロソフトのオンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループ コミュニケーションサービスチーム プロダクトマネージャーの石井 恵子氏、マカフィーのマーケティング本部コンシューママーケティング部プロダクトマーケティングマネジャーの飯嶋 睦氏が次々登壇し、自社製品の紹介と、Windows Vistaへの対応について紹介した。