日立製作所と松下電器産業は7日、プラズマディスプレイパネル(PDP)事業の包括的協業で合意し、日立の庄山悦彦社長と松下の中村邦夫社長が共同で記者会見した。 PDPのリーディングカンパニーである両社は、今後、開発、生産、マーケティング、知的財産権という幅広い分野での包括的な協業を推進するという。これにより、PDP技術にさらに磨きをかけ、プラズマテレビ市場をグローバルに発展させていくとしている。 具体的な協業内容については、今後議論するとしているが、現在想定している内容は以下のとおり。●開発分野 PDPモジュール部材の標準化などによるコスト競争力向上を図るため、両社が協力しつつ、部材メーカーとの連携の方法・可能性を探る。さらに、両グループ企業の保有する優れた部品・部材の相互活用を通じて、製品性能の向上やコスト低減など、事業シナジーを創出していく。また、PDPに関する最新情報の収集と交換を実施することによって、両社の技術力のさらなる向上を図る。●生産分野 次世代の生産設備の標準化や生産プロセスの相互ベンチマーキングを検討し、PDPの生産性向上を目指す。●マーケティング分野 広視野角・動画性能・色再現性などのPDPが持つ優れた画質や、省エネ性、臨場感あふれる映像を家庭で楽しめるホームシアターの提案などを、ユーザーの視点に立って、よりわかりやすく、共同で訴求していく。●知的財産権分野 PDP事業を展開する上で特許はますます重要になり、日立は特許を管理する会社の設立を検討。松下は同会社に対する出資を検討し、継続的かつ安定的な相互ライセンス関係の構築を進めていくとしている。 日立の庄山悦彦社長は今回の協業について、「日立、松下ともに大画面・高画質の主役であるプラズマテレビ分野でリーディングカンパニーだ。日本が誇る先端技術を結集したPDPを日本発のキーデバイスとして、世界市場で発展していきたい」という思いから、両社が合意したと説明。また、「両社ともに、大画面・高画質の市場で、PDPの優位性、将来性、発展性を確信している。開発、生産、マーケティング、知的財産権の4分野で協力しあうことで、市場のさらなる活性化につながる」と述べた。なお、今回の協業は、日立から松下に持ちかけたとのこと。 松下の中村邦夫社長は、「テレビの歴史は大画面化の歴史。テレビというものは、いったん大きな画面を見慣れてしまうと、決して小さな画面を見ようという気にならない。また、画質の良いものを見るとさらに高画質なものを求める。世界的にプラズマテレビの需要が立ち上がってきており、2008年度には最低でも1,000万台をオーバーする見込み。こうした状況を踏まえ、当社はPDPを戦略事業として、システムLSIやPDPなどの技術によって作り出した基幹部品をベースに完成部品までの一貫生産を行うことで、最高レベルの品質とコスト力を追求していく。PDPは日本が誇る最先端のキーデバイス。今回の包括的協業が、PDP技術をさらに高度化し、プラズマテレビ市場をグローバルに拡大・発展させることで両社の思いが一致した。また両社の強みを生かし、モノ作り日本の復活にも貢献したい」と語った。 PDPは、1つ1つの画素が発光して映像を表示する自発光のデバイスであり、「視野角が広い」「応答速度が速い」「色再現性に優れている」といった特徴を持っている。