ISPの回線コストを増やす悩みの種がP2Pファイル交換/共有ソフトによるトラフィックだ。最近では、これらのトラフィックをフィルタリングを行うソリューションも登場しているが、専用機であるため汎用性が低かったり、スループットが低い、シグネチャーを利用しており管理が面倒などの欠点があった。これを解決するのがフローステートルータだ。 フローステートルータとは、総転送バイトカウント、平均出力レート、フローの持続時間、平均パケット長を監視し、どんなアプリケーションから発生したパケットなのかを判断するもの。これにより、パケットの中身を調べることなくP2Pファイル共有/交換ソフトのトラフィックに制限がかけられる。さらに、IP電話やストリーミングのトラフィックを優先的に扱うといったことも可能だ。 このフローステートルータを扱うカスピアンネットワークスは、「Apeiro」のデモンストレーションを披露した。 デモンストレーションは、HTTP、オンラインゲームを想定したTCP、それにP2Pファイル交換/共有ソフトである「WinMX」のトラフィックを流して行われた。Apeiroのトラフィック制御を利用していない状態では、HTTPのレスポンスは30〜40ms、TCPトラフィックは7〜8Mbps、WinMXは70〜80Mbpsのトラフィックを消費している。この状態でトラフィック制御を行うと、WinMXは30〜20Mbpsに減少しているものの、ほかのトラフィックには全く影響を与えていない様子が分かる。 Apeiroは、ほかのP2Pフィルタリングソリューションとは違い、「非インタラクティブトラフィック」のみを制御できることが異なる。非インタラクティブトラフィックとは、FTPによる大容量のファイル転送やP2Pファイル交換/共有ソフトのトラフィックで、これらのアプリケーションではユーザがファイルの転送を開始するとそのまま放っておく傾向がある。そのため、本来は2時間で済むファイル転送のトラフィックを制御して帯域を絞り、3時間に伸びたとしても気が付かれにくい。一方の、Web、ストリーミング、IP電話などは「インタラクティブトラフィック」とされており、遅延や音声/映像品質の低下はユーザに気が付かれやすい。これにより、ユーザに気が付かれにくいトラフィック制御が可能になる。 さらにルータとトラフィック制御の機能が統合されていることも大きなメリットだ。P2Pトラフィックは、通常の回線ではなく“怪しいトラフィック”を流すための回線に回すことも可能なため。こちらは、メインよりも品質が低い回線を使うことで、コストを抑えられるのだ。