この数字は、同社(虎ノ門)に設置された基地局から約2km離れた地点で行われた実験の結果によるものだ。実験では、端末を3台用意し、同時に測定。これを3回ほど行い、平均値を取った。その結果、それぞれの端末の平均値が1.65Mbps、2.03Mbps、0.964Mbpsになり、この合計が「セクタースループット」になる。
実験では上下で同じ帯域を割り当てており、同一条件での理論上の最大セクタースループットは5.4Mbpsになる。そのため、今回の実験では理論上における最大値の約86%の実効値を記録したことになり「非常に良好だ」(同社新規事業企画本部長の諸橋知雄氏)とアピールした。
ちなみに、IMT-2000技術調査作業班の資料によると、「TD-CDMA」のセクタースループットは理論上では1.5Mbpsとのこと。TD-SCDMA(MC)は、実効速度においても、すでにTD-CDMAの理論値を上回ったことになる。
また走行実験も行われ、国道1号線を時速40km前後で走行中にFTPで14Mバイトのファイルをダウンロードしたところ、1Mbpsを超える通信速度が得られたとしている。
さらに、発表会では実際にデモンストレーションも行われた。まず、インターネット上からブロードキャストで配信された700kbpsのストリーミングの再生だ。通信速度が最大400kbsp程度、最大2Mbps強のほかの第3世代携帯電話のサービスでは駒落ちや遅延が見られたが、TD-SCDMA(MC)についてはそれらが全くみられない。また、NetMeetingによるテレビ会議も実演されたが、遅延や駒落ちなどは感じなかった。なお、遅延については、今の段階で具体的な数字は測定していないものの、50〜30ミリ秒程度ではないか、としている。
ほか、デモンストレーションでは、端末が設置されたPCが3台ほど用意されていた。実際にWebサイトを表示させてみると、1.5MbpsのADSLと同じくらいといった感じくらいの印象を受けた。ちなみに、speed.rbbtoday.comでの速度測定では、1.5Mbps以上の値を示したため実際にはもう少し速いようだ。
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speed.rbbtoday.comによる測定結果 |
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(左)デモンストレーションに用意されたPC (右)イーサネットでPCと接続された端末 |
さらに、同社の屋上に設置された基地局も公開された。今のところこの基地局は、南西を中心に240度半径約2kmをエリアにしている。なお、渋谷と四ッ谷にも同様の基地局を設置し、ハンドオーバーの実験も実施する計画だ。
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同社の屋上に設置された実験用の基地局 |
この基地局は「特に高い場所に設置したというわけでもなく、同じくらいまたはそれ以上のビルが周りにあり、必ずしもベストではない」(井桁氏)としたものの、先ほどの実験結果のように、2km離れていても4.65Mbpsのセクタースループットが得られているなど、順調に実験は進んでいるようだ。