インテルの開発者向けイベント「インテルデベロッパ・フォーラム Japan Spring 2004」で開催された、米Intelのケビン・カーン氏の講演によるものだ。
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米Intel ケビン・カーン氏。同氏は、2003年のIDFでもUWBについて講演を行っている |
WUSBは、近距離で高速な通信を実現する無線技術。現行の有線USBをワイヤレス化するほか、情報家電の接続も視野に入れ開発が進められている。
特徴的なのは「WUSBへの移行は、USB1.0から2.0と同じようにスムーズに行える」としているように、有線USBからの移行が考慮されていることだ。セミナーで行われたデモンストレーションでは、有線USBに対応したWebカメラとHDDがWUSBでPCに接続されていた。これは、有線USBとWUSBの違いを吸収しているため、WebカメラにしろHDDにしろWUSB専用のハードウェアやドライバーを開発する必要がないことを示している。
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WUSBのデモンストレーション。手前のPCと奥のUSB機器をWUSBで接続している。なお最大480Mbpsの通信が可能のため、現行のUSB2.0と同等といえるだろう |
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WUSBに対応したPCのデバイスマネージャ。「USBルートハブ」から下はこれまでの有線USBと同じドライバーやデバイスだ(クリックして拡大) |
さらに、「ワイヤレスIEEE 1394との話し合いも行っている」(同氏)など、ほかの規格と協調する体勢を取っていることも特筆すべき点だ。WUSBの基礎になるUWBは、「Multi Band OFDM Alliance」(MBOA)で策定されている規格が用いられる。そのため、WUSBと共通の無線プラットフォームでワイヤレスIEEE 1394などほかの規格も利用できるようになる。
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WUSBにおける階層図(クリックで拡大) |
しかし、課題も残されている。それは、有線USBのようなプラグアンドプレイが実現されるかということだ。また、無線化することによる情報の漏洩も気になるところ。これについては、「セキュリティと使いやすさのバランスを取っていく」としたものの、具体的な認証方法や暗号化の方法など詳細はまだ策定中であるとした。
米Intelブラッド・ハスラー氏によると「2004年末までに1.0の規格を策定する」としており、NECは2005年6月にはサンプルが出荷できるとのことだ。