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![]() IP-cartridge |
同じ個数のIP-cartridgeがセットされたIP-Node(箱)であっても、セットするCFに書き込まれたイメージが違えば、まったく違う動作をする。ルータ機能のCFをセットすればルータになるし、アンチウイルスのCFとファイアウォールのCF、侵入検知のCFをセットして、各IP-cartridgeを順番にトラフィックが流れるよう設定すれば、セキュリティアプライアンスにもなる。
こうしたIP-Processorベースの製品は、アップデート手段もよりシンプルになる。ベンダーは新バージョンのCF(1枚ないし複数枚)を提供し、ユーザはそれをセットして再起動をかけるだけということで、Windows UpdateやLinuxのパッケージベースのアップデートよりも簡単だ。しかも、万一新しいバージョンが不具合をおこした場合のダウングレードも、もとのCFをセットして再起動するだけという手軽さだ。IP-cartridgeはCFブートのほかネットブートもできるので、1個のIP-cartridgeを起動用マスターにする構成も可能。こうすれば1枚のCFだけで複数台構成のIP-Processorのアップデートを行わせることもできる。
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共通のハードで異なるアプライアンスが構築可能 クリックで拡大表示 |
OSについては、現在のところLinuxやBSD系、SolarisX86版、Enbedded Windowsなどが利用可能で、さらに国立情報学研究所の松本尚氏が開発するスケーラブルなマルチプロセスOS「SSS」のIP-Processor版「SSS-IPP」も開発中である。
SSSは、メモリ共有型のマルチプロセッシングをネットワーク経由でおこなえるOSで、数十万台のコンピュータで負荷分散を自律的に行うのが特徴。松本氏は、多数のCPUが利用できるIP-Processorでは、単に処理能力を上げるだけでなく、同じプロセスを複数個のCPU上で実行することで、計算結果の検証(多数決方式。スペースシャトルのコンピュータなどで有名)や高可用性(IP-cartridgeが一つぐらい故障してもプロセスはほかのカートリッジでも実行されていて問題が起きない)を実現できると述べた。
このほか、実際の製品として、ストアゲートの「Query Master」などが紹介された。Query Masterは、リアルタイムでSQLのレプリケーション(複製)を行うデータベース負荷分散システムで、たとえ一つのIP-cartridgeが故障しても、複製があるので動作には全く支障がない。IP-cartridgeはディスクドライブを持たないためDBには不向きだといわれている点についても、ストアゲートの島田洋一氏は、オンメモリながら256MB程度のデータベース領域が確保できるため、実際には結構な量のデータが置けると述べ、今後搭載メモリ量が2GB〜4GBとなれば非常に大きなデータベースを使用することも可能になること、さらにすべてオンメモリのおかげで非常に高速に検索がおこなえるメリットがあるとした。
また、IP-Processorの評価を行っているというインターネット総合研究所の許先明氏は、現在のシステム(モバイル
IP-Processorは、ブレードサーバの変形版として見られがちだが、高い対故障性を目指した多数のIP-cartridgeが、IP-Node(箱)の中の強力なスイッチで相互接続されているというもので、むしろ現代的なパッケージングによる粗結合マルチプロセッサマシン、あるいは学研「電子ブロック」のコンピュータバージョンといったものになっている。
現在でもオンメモリのファイルシステムによってほとんどの用途には耐えるのだが、すでに登場しているIP-Processor対応のNAS(ネットワーク接続型ストレージ)や、現在計画されているiSCSIベースの「IP-Storage」と組み合わせることで、さらに用途も広がるだろう。
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IP-Node432内蔵のスイッチは合計80Gbpsの帯域を持つ クリックで拡大表示 |
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