
1. 概要
株式会社エムニ(本社:東京都文京区、代表取締役社長:下野 祐太、以下「エムニ」)は、株式会社ダイセル(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役社長:榊 康裕、以下「ダイセル」)と共同で、化学プラントの設備保全業務の効率化を目的とした、生成AI活用プロジェクトを開始しました。本プロジェクトでは、長年蓄積してきた設備に関する様々なデータを学習した生成AIにより、工事仕様書や工事手順書などの設備保全に関するドキュメント作成業務負荷の軽減に貢献します。
2. 背景
化学プラントでは、安全かつ安定した生産を維持するために、高度な専門知識と豊富な業務経験をもとに、設備の状態を見ながら、適切な頻度、タイミングでの保全が不可欠です。しかし、大規模プラントにおいては設備の種類、点数が多く、機器メーカー、施工会社と協力した円滑な保全業務の遂行のためには、膨大なドキュメント作成が必要であり、また内容も複雑化しやすく、業務負荷の軽減が課題となっています。
3. 目的
本プロジェクトでは、設備保全業務に伴うドキュメント作成を効率化することで、業務負荷の軽減を目指します。ダイセル内での設備保全関連文書、ならびに関連法規、規格を学習した生成AIを活用し、社内外のデータを網羅的に調査して品質の高いドキュメントの作成およびチェックを支援するシステムを開発します。さらに、本システムを通じて、設備保全に関わる人財育成の高度化、高速化にも挑戦します。
4. 開発内容
本システムは、ダイセルが蓄積してきた設備保全に関する膨大なデータ、ならびに関連法規、規格などの公的文書類を活用し、品質の高いドキュメント作成およびレビュー支援を可能にします。具体的には、設備保全に関わる技術文章や図表データを、生成AIが効率的に処理できる形でデータベース化し、RAG※1を活用して適切な情報を生成し、担当者に提示します。このデータベースの構築には、読み込みデータの構造化やプロンプトエンジニアリング※2の工夫など、高度なデータ解析技術が必要です。本プロジェクトでは、製造業における生成AI活用で培ったエムニのデータ解析技術および、ダイセルの化学プラントにおける専門知識を融合し、現場に寄り添った設備保全業務の支援システムを開発していきます。
5. 終わりに
今後は、PoC※3による本支援システムの有効性の確認および、アジャイルな改善を通じて、設備保全業務への適用に取り組みます。本プロジェクトを通じて、エムニは、ダイセルの設備保全業務におけるさらなる業務改善および技能伝承の高度化、高速化に寄与します。また、生成AIをはじめとする最先端のAI技術を駆使して、製造業の皆様の課題解決を支援し、業界全体のさらなる発展に貢献していきます。
注釈
※1 RAG: Retrieval-Augmented Generation。生成AIが外部データベースから適切な情報を検索し、その情報を基に回答を生成する技術。
※2 プロンプトエンジニアリング: 生成AIに対して適切な指示(プロンプト)を与えることで、望ましい回答を得るための技術。
※3 PoC: Proof of Concept
■ 株式会社ダイセルについて
・主な事業内容
株式会社ダイセルは、セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術とする化学メーカーです。主な事業領域は以下のとおりです。
- メディカル・ヘルスケア事業:健康食品や医薬品関連製品の製造・販売。
- スマート事業:液晶保護フィルム用酢酸セルロースや高機能フィルムの製造・販売。
- セイフティ事業:自動車エアバッグ用インフレータなどの製造・販売。
- マテリアル事業:酢酸、酢酸誘導体、酢酸セルロースなどの製造・販売。
- エンジニアリングプラスチック事業:ポリアセタールや液晶ポリマーなどの製造・販売。
・本社所在地
大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪タワーB
・URL
https://www.daicel.com/
■ 株式会社エムニについて
株式会社エムニは「AIで働く環境を幸せに、世界にワクワクを」というミッションのもと、製造業を中心に各企業ごとにカスタマイズされた『オーダーメイドAI』の開発及び導入支援に取り組んでいます。京都大学大学院でAI研究に従事したメンバーや、東京大学院工学系研究科松尾・岩澤研究室とビジョンを共有する松尾研究所でAI社会実装に携わったメンバーが、貴社に最適なAIを提供いたします。

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