本実験では、地上のLTE基地局から送信される電波を高度約20kmの成層圏を飛行するHAPSを介し、地上のスマートフォンへ伝送する実証実験を実施しました。具体的には地上に設置したLTE基地局を地上ゲートウェイ局※2に接続し、HAPSに搭載した非再生中継方式※3と呼ばれる電波を折り返す中継技術を用いた通信装置を介して、地上のスマートフォンと情報データの送受信を行いました。その結果、地上ゲートウェイ局からHAPSを中継したスマートフォンへの通信(フォワードリンク)で4.66Mbps以上のスループットを確認しました。また、成層圏を旋回するHAPS機体から、一定のエリアに通信カバレッジを形成するために地上の定点にビームの中心を向ける技術を実装し、HAPSから折り返される電波がスマートフォンで正常に受信できることを地上の試験エリアにて確認しました。高度18km以上の成層圏を飛行する小型固定翼タイプのHAPS機体を用いて地上のスマートフォンと無線でのデータ通信を確立する事に成功したのは今回が世界初となります。
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本実験におけるHAPSを介したスマートフォン向け直接通信システムの概要
本実験には、AALTO HAPS Limited(以下、AALTO)が製造および運用する小型固定翼型のHAPS機体「Zephyr」を利用しました。「Zephyr」は2022年に無人航空機として最長となる64日間の滞空飛行を実現するなど、優れた飛行実績を有しています。
今後もSpace Compass とドコモは、本実験で得られた結果をもとに、HAPSの2026年における商用化に向けた開発を推進し、Beyond 5G時代における空・海・宇宙などあらゆる場所への「超カバレッジ拡張」を実現する宇宙RAN(Radio Access Network)の開発に取り組んでまいります。
なお、本成果の一部は、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT(エヌアイシーティー))の「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」の委託研究(JPJ012368C07702)により得られたものです。
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着陸時の様子
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格納庫に設置されたHAPS
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試験エリアに設置された地上ゲートウェイ局
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地上ゲートウェイ局のHAPS追尾状況を確認する様子
※1 HAPS: High-Altitude Platform Stationの略称。高度約20km上空の成層圏を数日~数か月の長期間に渡って無着陸で飛行できる無人飛行体を指します。機体には中継器などを搭載し、直径100~200km程度のエリア化が可能となり(機体設計により変動)、従来エリア化が困難であった空、海上をはじめ、採算性の観点からエリア化されていなかった過疎・中山間地域なども対象とすることが検討されています。
※2 地上ゲートウェイ局:HAPSと地上の通信ネットワークを中継する地上局。
※3 非再生中継方式:基地局装置をHAPSには搭載せず地上に設置し、HAPS機体側では地上からの電波を折り返す中継機能を有する通信装置(ペイロード)を用いる方式。これに対し、基地局装置をHAPSに搭載する方式を再生中継方式と呼びます。
本リリースは、NTTグループ各社等が展開する宇宙ビジネスのブランド「NTT C89」およびスカパーJSATの宇宙事業ブランド「JSAT」の取り組みの1つです。
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