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オンラインセミナー 「中東の海水淡水化事業の現状」を開催



持続可能な水供給への挑戦と展望

2025年3月6日
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団

 
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 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地:東京都港区、理事長:中山幹康、略称:日本GIF)は、2025年1月31日(金)午後2時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、丸紅株式会社の松井正氏(Marubeni Water Development and Investment Limited社長)を講師にお招きし、「中東の海水淡水化事業の現状」と題したセミナーを開催しました。

開催趣旨
 中東地域では水資源が限られており、「海水淡水化」プラントが人々の生活を支える重要なインフラとなっています。この技術によって造水された水は、飲料水として利用されるだけでなく、都市緑化や農業の現場でも一部活用されるなど、多様な形で社会に貢献しています。
 今回のセミナーでは、アラブ首長国連邦(UAE)在住で海水淡水化事業の開発及び履行業務を行っているMarubeni Water Development and Investment Limitedの松井正社長を講師にお迎えしました。
 セミナーでは、海水淡水化技術の中東への導入、その変遷及び近年の効率化・大型化の進展、各国の状況、海水淡水化事業が直面する電力消費量低減・濃縮海水(ブライン)処理といった課題・取り組み状況、地域経済や社会課題への影響などについて、事業に従事している現地での経験を踏まえて解説していただきました。

講演要旨
1.世界の水事情
・地球上の水の大半は海水である。利用可能な淡水は全体の約0.01%に過ぎず、淡水の確保は重要
・中東諸国では水需要が高い一方で、水賦存量が限られており、水ストレスが非常に大きい

2.海水淡水化技術について
・大規模な造水能力を持つ海水淡水化技術には、蒸発法(多段フラッシュ法、多重効用法)と膜式(逆浸透膜法、RO: Reverse Osmosis Membrane)がある
・蒸発法:発電所併設の造水プラントで多く採用され、原水の前処理や後処理が不要。しかし、発電所の熱を利用して蒸発させるため、エネルギー負荷が高い。膜式に比べてプラント構造が複雑で、建設・メンテナンスコストが高い
・膜式:単独で稼働可能なシステムで、年間を通じて安定した造水が可能だが、前処理や後処理(再ミネラル化、塩素消毒)が必要。膜技術の発展によりエネルギー消費が減少し、再生可能エネルギーの活用も進んでいる。蒸発法よりも建設・メンテナンスコストが抑えられる
・事例:丸紅株式会社が出資したサウジアラビアのShuqaiq 3(シュケイク3、2022年運転開始)のプラントを紹介

3.中東での海水淡水化事業
・膜技術の進展は、戦後の米国内務省塩水局による研究開発機運の高まりが大きな契機。日本では、1970年代に東レ、日東電工、東洋紡などの大手企業が米国から膜技術を輸入し研究を開始、その後、日本は世界シェアでトップとなった
・中東では、水不足や人口増加を背景に造水需要が増加。2000年代の石油価格高騰を受け、燃料を輸出に回す方針へ転換し、蒸発法からRO膜法とのハイブリッド型が進展。リーマン・ショック後、石油価格の急落を受けて再生可能エネルギー導入が加速し、RO膜プラントの重要性が増大。性能向上とコスト削減により大型化し、現在ではRO膜プラントが主流
・造水コスト(=水道料金)は、早くから1ドル/㎥を下回っていたが、長らく「50セント/㎥の壁」が存在していた。コロナ禍以降は事業の採算性を確保するため、料金が若干上昇。現在、再生可能エネルギーの活用による電力消費削減が、水道料金の低減にどれだけ寄与するかが鍵となっている
・造水の需要には生活用水や飲料水の他、産業用途も含まれている。産業別では、特に石油化学産業での需要が高い。また、中南米の銅鉱山で地下水の代替として造水の需要が高まっている

4.海水淡水化事業の課題
・電気消費量のさらなる低減、環境への配慮とブライン処理の課題、技術イノベーションによる変革と競争、社会への責任・貢献と地域課題への対応、民間事業者としての競争力維持とリスク管理などが挙げられる

 
 講演後の質疑応答では、RO膜廃棄の環境への影響、金属マグネシウム抽出の事業化の見通し、サウジアラビアのShuqaiq 3の規模について等、活発な質問が飛び交いました。
 セミナー終了後のアンケートによると、「中東での海水淡水化事業」や「海水淡水化技術について」「海水淡水化事業の課題」のパートへの関心が高かったことがわかりました。この他にも多くの質問や意見が寄せられ、中東の海水淡水化事業の今後の行方への高い関心が見て取れました。

セミナー概要
主  催: 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)
日  時: 2025年1月31日(金)14:00~15:30
名  称: オンラインセミナー「中東の海水淡水化事業の現状」
開催形式: Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)
講演者: 丸紅株式会社 松井正(Marubeni Water Development and Investment Limited社長)
司会者: 中山幹康(日本GIF理事長)
参加費: 無料
動  画: https://gif.or.jp/seminar_youtube/desalination-2/

講師略歴
松井 正
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1992年丸紅株式会社入社。20年以上にわたり駐在歴のあるカタール、サウジアラビアを含め、中東地域を中心に水ビジネスに従事。現在、中東向け水ビジネスの開発拠点であるMarubeni Water Development and Investment Limited社長(在UAEドバイ)。

 
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