タレント・井上咲楽が初のエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)を11月22日(金)に発売。これを記念して都内でイベントが開催され、囲み取材に応じた井上は本書に込めた思いやエピソードを語った。25歳の節目に、自身の半生を振り返りながら綴ったこの一冊には、彼女の内面やこれまでの経験が赤裸々に描かれている。
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テレビ番組『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ)でアシスタントMCを務めるなど、多方面で活躍する井上。“笑顔で明るく、いつも元気”というパブリックイメージの裏側で、彼女が抱えてきた「不安」や「悩み」、「ブレイクまでの苦悩」、「自己肯定感の低さ」、「生きづらさ」などが、本書では率直に語られている。
エッセイには、内気だった小学校時代、いじられキャラとして周囲に溶け込んだ中学時代、そして精神的なバランスを失い苦しんだ高校時代のエピソードが描かれている。また、芸能界での成功を夢見て迷走していた時期や、トレードマークだった“ゲジゲジ眉毛”を剃る決断に至るまでの葛藤も詳細に綴られており、彼女の四半世紀の歩みがギュッと詰まった内容だ。
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「ひらがなでタイトルをつけたのは、25歳で“人生”を偉そうに語るのもどうかなと思って。柔らかい印象を持ってほしかったんです。“手帖”という言葉も昔から好きで、自分の心の中をそのまま記した感じがぴったりだと思いました」と井上は語る。今年の春から執筆を始め、親交の深いライターと何度も対話を重ねながら、自身の記憶を掘り起こしていったという。「過去の自分と向き合う作業はつらい時もありましたが、この本がなければ振り返ることもなかったと思います」。
本書ではさらに、井上をよく知る「親友・いつきさん」や『新婚さんいらっしゃい!』で共演する「先輩・藤井隆さん」のスペシャルインタビューも収録。それぞれの視点から描かれる井上の姿や努力が、読者に新たな一面を届ける。さらに、巻頭には、メディアでも話題の“山奥に建つ一軒家”井上の実家がある栃木県で撮影されたグラビアが収録されており、実家はもちろん高校時代のアルバイト先や益子駅でのカットも収められている。
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記念イベントでは、井上がホリプロスカウトキャラバンで特別賞を受賞した際の「芦田愛菜ちゃんのモノマネをしながらスルメの食レポをする」パフォーマンスを再現。全力で取り組む井上の姿に、報道陣から笑いが起き、会場は和やかなムードに包まれた。「空手かスルメかを迷った末にスルメを選び、特別賞を受賞したんです!『スルメの子』として覚えられたのは今でも笑っちゃいますね」と微笑んだ。
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さらにサプライズとして、藤井隆からの手紙が読み上げられる場面も。「咲楽ちゃんと自分の似ているところ、似ていないところを見つけて楽しめるのが井上咲楽ちゃんの『じんせい手帖』だと思います。52歳のボクが自分と重ねて楽しめたので、咲楽ちゃんと同世代の方なら尚更楽しい一冊だと思いました」と温かいメッセージが届けられた。手紙には、彼女が大好きなコメダ珈琲のチケットも添えられ、井上は「まさか藤井さんからお手紙をいただけるなんて。本当に嬉しいです」と感激の様子を見せた。
エッセイの執筆を通じて、井上は自身の未来にも思いを巡らせている。「全国ツアーをやりたいんです。歌やダンスではなく、近況報告をしたり、料理を振る舞ったり…好きで来てくれる人たちと楽しい時間を共有できるような。初日は地元・宇都宮でスタートして、最終的には武道館や東京ドームで開催するのが夢ですね」マラソンやYouTubeなど、新しい挑戦にも意欲を見せており、ファンと一緒に歩む未来を思い描いている。「この本を読んで、“明日もなんとか生きていける”って思ってもらえたら嬉しいです。自分の悩みや葛藤に向き合う姿が、どこかで誰かの励みになればいいなと思っています。」井上の言葉には、彼女のありのままの姿を伝えたいという思いが詰まっていた。『じんせい手帖』は、井上咲楽の25年間の濃厚なエピソードと、彼女自身が見据える未来への希望が詰まった一冊。ファンのみならず、幅広い層に響く内容となっている。(TEXT・撮影:小松暁子)