(以下、ネタバレあり)
目次:
・あらすじ
・登場人物&キャスト
・見どころ
■筆者プロフィール
山根由佳
編集者・写真家のマネージャーなど複数の草鞋を履くフリーライターであり、海外ドラマ&映画の熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。X(Twitter):@ymndayo
山根由佳
編集者・写真家のマネージャーなど複数の草鞋を履くフリーライターであり、海外ドラマ&映画の熱狂的ウォッチャー。観たい作品数に対して時間が圧倒的に足りないことが悩み。ホラー、コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマが好き。X(Twitter):@ymndayo
あらすじ
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主人公は、田舎出身の弁護士ヒョヌと国内屈指の財閥令嬢へインの夫婦。社会的地位に差のある2人の恋愛結婚は世間を大いに賑わせるが、結婚3年目に突入した頃には完全に仲が冷え切ってしまう。ヒョヌは妻及び義家族と安全に縁を切れる方法を模索していたが、へインが大きな問題に直面。それを機に、夫婦仲に変化が訪れていく。
登場人物&キャスト
ペク・ヒョヌ役:キム・スヒョン
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ソウル大学法科大学ロースクール出身の弁護士で、卒業後はクイーンズ百貨店に新入社員として入社。態度が大きい迷惑なインターン生・ヘインが気になるようになり、アプローチ。ヘインの正体を知ったことで退職届を出して行方をくらますが、ヘインの求愛行動によってゴールインすることに。クイーンズグループ法務理事の座も獲得する。しかし、義家族と365日一緒に過ごさなくてはならないという窮屈な環境やヘインのトゲトゲした態度に参ってしまい、離婚を決意。『サイコだけど大丈夫』『ある日~真実のベール』のキム・スヒョンが、疲弊しきった夫を情感たっぷりに演じる。
ホン・ヘイン役:キム・ジウォン
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スヒョンの妻で、クイーンズグループ常務取締役兼クイーンズ百貨店社長。他人にも自分にもストイックな性格で周囲から恐れられており、“デパートの女王”という異名を持つ。クイーンズグループ創業者である祖父から「総売り上げが一兆を超えたら相続させる」と言われており、その達成のため邁進している。絵に描いたようなツンデレお嬢さまのキャラクターに息を吹き込んだのは、『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』『私の解放日記』のキム・ジウォン。
ユン・ウンソン役:パク・ソンフン
ヘインの大学同期で、ウォール街アナリスト出身のM&A専門家。ヘインのために大手ブランドの仲介役を買って出る。へインに好意を寄せており、ヒョヌにマウントをとってくる。『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』『誘拐の日』のパク・ソンフンは、怪しさたっぷりなウンソン役にぴったり。
ホン・スチョル役:クァク・ドンヨン
ヘインの弟で、クイーンズグループ常務理事兼クイーンズマート代表。優秀な姉や義兄と常に比較されて不貞腐れているが、実際、あらゆるビジネスに失敗して人のせいにする無能な男だ。『ヴィンチェンツォ』や『ビッグマウス』などのクァク・ドンヨンが、お得意の“長いものに巻かれる”人物を演じている。
チョン・ダヘ役:イ・ジュビン
スチョルの妻。夫を全面的にサポートし、義家族とも良好な関係を築く、身なりも振る舞いも上品な人物。しかし、スチョルのビジネスに従兄弟を関与させたり、スチョルのSNS投稿用写真に写りたがらなかったり、裏がありそうな様子。『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』や『その恋、断固お断りします』などのイ・ジュビンが完璧な妻役に。
ホン・マンデ役:キム・ガプス
クイーンズグループ会長で、ヘインの祖父。靴磨きや新聞売りを経て、一世代だけで百貨店やマートの展開を成功させる。20年前に長男に裏切られた経験から家族を信頼しておらず、無欲な愛人モ・スリのみ信じている。演じるのは、『Sweet Home~俺と世界の絶望~』や『賢い医師生活』などのキム・ガプス。
モ・スリ役:イ・ミスク
マンデの愛人。30年間一緒にいるが、マンデに対し、戸籍や財産などを一度も望んだことがない。マンデの嫁や娘から疎まれているが、したたかに乗り切っている。演じるのは、『愛の温度』などのイ・ミスク。
ホン・ボムジュン役:チョン・ジニョン
クイーンズグループ副会長で、ヘインの父。基本的に平和主義だが、裏切り者は絶対に許さぬ恐ろしい一面を持つ。演じるのは、『不可殺 -永遠を生きる者-』などのチョン・ジニョン。
キム・ソンファ役:ナ・ヨンヒ
クイーンズ百貨店VVIPクラブ運営者で、ヘインの母。スチョルを溺愛しており、ヘインとは折り合いが悪い。スチョルが義父(マンデ)に怒られるとヘインに矛先を向ける。演じるのは、『プロデューサー』などのナ・ヨンヒ。
ホン・ボムジャ役:キム・ジョンナン
ヘインの叔母。父の愛人スリを憎んでいる。元夫3人を国外通報し、夫の親戚全員に制裁を下すなど、“復讐が特技”な常軌を逸した人。演じるのは、『財閥家の末息子』などのキム・ジョンナン。
ホン・ボムソク役:パク・ユニ
ヘインの叔父。父マンデを裏切ったことで国内にいられなくなり、長年ハワイに住んでいた。演じるのは、『愛と利と』などのパク・ユニ。
グレイス・コ役:キム・ジュリョン
富裕層専用仲人として有名なエステティックサロン経営者。ヘインが恋愛結婚したことで仲介人としてのキャリアに傷が付いたと感じている。演じるのは、『イカゲーム』などのキム・ジュリョン。
キム・ヤンギ役:ムン・テユ
ヒョヌの大学時代の同級生で、有名な離婚専門弁護士。ヒョヌが唯一本音を打ち明けられる友人。演じるのは、『愛と利と』などのムン・テユ。
ペク・ドゥグァン役:チョン・ベス
ヒョヌの父で、龍頭里(ヨンドゥリ)村の里長。ヒョヌがクイーンズグループの婿になり、その財力で村の改善に尽力したことで里長の座に就くことができた。家族協力のもと、次期里長選にも立候補している。演じるのは、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』などのチョン・ベス。
チョン・ボンエ:ファン・ヨンヒ
ヒョヌの母、龍頭里スーパーのオーナー。田畑や果樹園の仕事も家事もこなしており、ドゥグァンを尻に敷いている。どんな判断であれど、常にヒョヌの味方。演じるのは、『今日もあなたに太陽を~精神科ナースのダイアリー』などのファン・ヨンヒ。
ペク・ヒョンテ役:キム・ドヒョン
ヒョヌの兄で、元ボクシング選手。ヘインに購入してもらったビルで、ボクシングジムを運営している。演じるのは、『ストーブリーグ』などのキム・ドヒョン。
ペク・ミソン役:チャン・ユンジュ
ヒョヌの姉。アメリカにいる夫と息子の留学支援をしながら、美容院を経営している。演じるのは、『ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え』などのチャン・ユンジュ。
見どころ
1. 主演2人の確かな実力が作品の面白さに結実
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財閥と凡人の恋愛模様は韓国ドラマでは定番ではあるが、本作ならではの魅力が、主演2人の演技だ。ヒョヌを演じるキム・スヒョンが、自らのルックスを悔やんで号泣する姿には爆笑! キリリとした表情で仕事をこなす傍ら、妻の前では捕獲された小動物のようにたじろぎ、親友の前では顔をぐしゃぐしゃにして人生の選択を嘆く、そのギャップがたまらなくおかしい。一方で、キム・ジウォン演じるヘインも最高である。結婚式に撮影した動画で「10年後の自分は変わらず美人で一番イケてる」と言い、髪を後ろにバサっとなびかせたり足や手を組んだり、細やかな仕草からも常に自信を持っていることが分かる人物だ。ともすれば過剰に感じる言動だが、すんなり受け入れることができるのは、ジウォンの“お嬢さま”演技に説得力があるからだろう。
また、1話目最後と2話目最初のシーンを注意深く観てみてほしい。ヒョヌとヘインがエレベーター前で話す、というものなのだが、よく見比べてみると表情や台詞などが似て非なる。それぞれヒョヌの視点、ヘインの視点で描かれており、その微妙な違いを演じ分けた主演2人には脱帽。今後の“ケミストリー”も楽しみだ。
2. 韓国ドラマ好きにはたまらぬキャスティング
『愛の不時着』でもナイス脇役を演じていたコ・ギュピルとイム・チョルスが、本作ではヒョヌのゴシップ対策係コンビとして登場。ヒョヌが外で飲んでいる時などに少し距離を取って監視しているのだが、あからさますぎてバレている様子が笑いを誘い、すでにドラマの箸休め的な存在になりつつある。
また、1話では『サイコだけど大丈夫』でキム・スヒョンの兄弟役を演じたオ・ジョンセがカメオ出演。ジョンセは同作で「百想芸術大賞」助演男優賞を獲得しており、その際にスヒョンへの深い感謝の気持ちを述べ、スヒョンが目を濡らしていたことが話題になっていた。同作で深い絆を築いた2人が再演し、劇内で会話をし、触れ合っているだけで胸が熱くなる。
さらに、第2話ではヘインのライバル役としてソ・イェファが登場。『ヴィンチェンツォ』のキム・ヒウォン監督の縁によるものだそうで、この先ソン・ジュンギも特別出演すると言われている。
3. 傑作の予感を感じさせる美しい映像
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『愛の不時着』の場合は、夜の野原で焚き火にあたりながら談笑するシーンや、アルプス山脈を背景に再会するシーンなど……主人公たちの距離感やそこに至るまでの背景にドラマチックなロケーションが掛け合わさり、感動をもたらしていた。
『涙の女王』でも、冒頭のエピソードにして、すでに印象的な場面の数々が公開されている。現実でも結ばれた『愛の不時着』カップル=ヒョンビンとソン・イェジンの野外結婚式を彷彿とさせる、花のデコレーションに彩られた“世紀の結婚式”のシーン。百貨店のクリスマスイルミネーションが煌めく中、ヒョヌがへインに告白するシーン。そして、ヘリコプターで降り立ち、果樹園の花がひらり舞う中、ヘインがヒョヌを訪れるシーン。いずれも絵葉書にして飾りたいほどの映像美で、まさに眼福。
オープニング映像で、ヒョヌがどこか異国の橋の上を急いで走っている場面が一瞬映っており、今後も作品を象徴する素晴らしいシーンが控えていると思われる。本作鑑賞の際は、ぜひ大きな画面で。