海苔弁って言ったら、2種類ありますよねぇ。お家で作ってくれるものと、お弁当屋さんの定番メニューで、安くて、ちくわと謎の白身魚の揚げ物が入ったやつ。タルタルかマヨぶっかけて一気食いするやつね。いずれにしても海苔弁というのは、弁当のスタンダードであり、「とりあえず安いし海苔弁でいいや」的な、量産型の雰囲気を漂わせているわけなのですが、今回紹介する「刷毛じょうゆ海苔弁山登り」(ヘンな名前のお店だな。別にいいけど)の海苔弁は、ガツガツ食ってハイ終了! 的なものとは一線を画する存在なんですよ。名前からして、“刷毛じょうゆ”ってのがウマそうでしょ?
刷毛じょうゆ山登りは、GINZA SIX店、エキュート東京売店、築地直売所の3店舗があるのですが、今回は築地直売所で買ってみました。11時30分の開店時に行ってみたのですが、すでに5、6人並んでいて、みなさん3つ4つと複数買い。普段のお昼を買うというよりは、お土産を買っていく感じなんでしょうね。
私の番が来て何を買おうか決めかねていたのですが、「鮭が箱からはみ出すくらい!」ってアピールされていた「海」(税込 1,080円)にしてみました。
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さて、包装を解こうとしたら、もうね、やられたわ。びっくりした。完全に「刷毛じょうゆ海苔弁山登り」の勝ち。何がって、海の香りがさ、ふわぁっと漂ってきたのよ! ホントです!
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いやぁ、そういえば海苔弁って、海苔使ってるんですよね! これまで食ってきた海苔弁といえば(念の為フォローすると、それはそれで好きですよ。ウマいです)、とにかくガツガツ食えばOKで、海苔はまあ入っていても存在感ないんだけど、大漁! コイツぁすげえ! まさに、海の国からやってきた本格的海苔なんですよ。
同社のページには、「有明海で収穫されたその年の一番摘みの海苔を使用しています」ってありまして、ありがとう有明海! 隅田川のほとりで、有明海を感じることができましたよ。
蓋をあけ、海に入っていたおかずは
・鮭塩焼き
・ちくわ磯辺揚げ
・卵焼き
・白滝たらこ和え
・ほうれん草ナムル
・大根塩漬
と、豪華な面々です。
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鮭についてはボリュームもさることながら適度な脂とホロホロ感あり……といったところ。
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でもね。もちろんこうしたメインおかずがウマいのは言うまでもないのですが、驚きは卵焼きとかのサイドメニューよ。弁当のサイドメニューといえば、妥協の申し子といいますか、よくわからないスパゲッティとか、溶けてるのか混ぜてるのかイマイチ判断つきづらいポテサラとか、呪いのように汁が漏れ出しているしば漬けとか、そんなイメージだけど、さすがコイツは違いますよ。
まず卵焼きね。
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出汁が効いてる。巷に多い、混ぜものを“ふんだんに”使用した「黄色くて柔らかいなにか」な玉子焼きとは次元が違う。甘い系の卵焼きは、ボリュームある鮭との相性もいいっす。
で、感動したのは白滝たらこ和えなんすよ。
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これ、ちょっとピリ辛なのですが、他のおかずはどちらかと言うと優しめの味なのに対し、コイツだけトンガッた味で、アクセントになってる。いやぁ、弁当に入っている麺状のものって、先述した“意味不明スパゲッティ”(意地でも「パスタ」とは言わねーぞ。アレは昭和のスパゲッティの成れの果てだ)のせいで、彩りとカサ増しだけで入れているだろ的な悪印象があったのですが、この白滝たらこ和えは、「海弁当ワールド」の中でしっかりした役割を果たしているっていうわけ。きちんと作っている弁当ってのは、こういうものかと。
そして、肝心の海苔ですよ。蓋を開けた時の香りのインパクトもありましたし、「いわゆる新芽を使用しているので柔らかく口の中で溶けてしまうほどで、スッと箸で切れるのが特徴です」な~んて、ホームページにも書いてある。実際、箸で起こしてみると……
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これだよぉ~。お醤油を含んだ海苔が柔らかく切れていく感じ。あの、普通に売っている弁当に入った、箸で切っても絶対切れない“黒い紙状のなにか”とは、違います。
というわけで、後は一心に食べて完食! それほどボリュームのある感じはなかったのに、けっこうお腹いっぱいになりました。普段の昼食としてこの弁当を買うということはないでしょうが、ちょっと気合の入った集まりなどで提供したり、差し入れで持っていったりすると、とてもよいのではないでしょうか。都会で潮騒に出会える弁当――そんな逸品でした。
★さいごに
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※刷毛じょうゆ海苔弁山登り
(TEXT:dairoh)