ガラスショーケースの中に展示されていたのは「Waterfall」と名付けられた形状のディスプレイを採用したスマートフォンだ。サイズは6.22インチで、ディスプレイの左右部分はそのまま側面部分を覆うように88度の角度で曲げられ、形状名のように「滝が流れる」ような表示が可能だ。この形状のディスプレイを搭載したスマートフォンは中国のOPPOやVivoも類似の製品を開発中だ。
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ベゼルレスデザインのスマートフォンとしては、サムスンが「Edge」デザインのディスプレイを採用したモデルを販売している。しかしEdgeディスプレイは表から側面へのカーブはゆるやかであり、その端にはベゼルがあるため「完全ベゼルレス」とは言えない。一方TCLのFlowing Curveディスプレイは表面から90度曲がって側面へ続いており、本体の両サイドは完全にディスプレイ面となっている。
ディスプレイの表示部分を左右にスワイプすると、まるで巻物のように側面を通して表示部分の続きが裏面から動いて表示される様は、スマートフォンの四角いディスプレイサイズの限界を無くすような感覚を覚える。側面部分にボタン類を表示すれば、物理的な操作ボタンを無くすこともできる。本体を握ったときに側面ディスプレイをタッチしてしまい誤操作しない工夫は必要となるが、スマートフォンのデザインを大きく変えるものになることは間違いない。
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また折りたたみ式のディスプレイを搭載したスマートフォンの試作モデルも展示されていた。今年2月にバルセロナで開催されたMWC19 Barcelonaでもガラスショーケースの中に展示されていたが、IFA2019ではショーケースの無い状態でディスプレイを間近で見ることが可能だった。ただし操作は禁止で、実際に折り曲げを試すことはできなかった。説明では20万回の折り曲げテストをクリアしているという。
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ディスプレイサイズは7.2インチで解像度は2018x1536ピクセル。内側にたためる「谷折り」式のデザインだが、同じ形状のサムスン「Galaxy Fold」よりも横方向が長いディスプレイとなっている。裏面は今回も試作モデルではダイヤモンドカット加工された表面処理となり、光の当たり具合により複雑な色の表情を見せる。このデザインのままアルカテルのスマートフォンとして発売される可能性もありそうだ。
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折りたたみスマートフォンはディスプレイのヒンジ部分の耐久性や、可動部分からのゴミやほこりの侵入が懸念されている。Galaxy Foldもテスト配布されたモデルがディスプレイの隙間から無理に表面層を剥がされたり、ほこり侵入の問題を起こし発売が9月に延期されたほどだ。TCLの試作モデルではヒンジ部も隙間の少ない形状となっており、Galaxy Foldの問題が起きないように工夫されている。
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なお外側に折り曲げる「山折り」式ディスプレイも展示されていた。こちらはディスプレイを外部のモーターで折り曲げるデモが行われていたが、完全に閉じるところまでは動いておらず、最大に閉じても角度は30度くらいまでであった。山折り式でもヒンジ部分の耐久性をクリアすることが難しいようだ。それでも動画を表示しながら折り曲げを繰り返しても表示が乱れることは無かった。チャイナスターは谷折り式、山折り式どちらのディスプレイも開発しているが、今回の展示を見る限りでは先に谷折り式ディスプレイのほうが商用化されるようだ。
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折りたたみ式ディスプレイは他にも縦に折り曲げる縦長デザインのスマートフォンのモックアップが展示されていた。背面は革張り風の仕上げとしており、たたむと胸ポケットに入る大きさになる。ディスプレイのサイズは今のスマートフォンより若干長いくらいであり、「開いて大画面」を実現するというよりも「閉じてコンパクトに収納できる」形状を目指したもののようだ。そのためモックのように革張りで高級・プレミアムなモデル向けのディスプレイとなるだろう。なおディスプレイ部分の展示は無く、現時点ではまだ開発を進めている段階とのこと。
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<TEXT:山根 康宏>