今月放送された『SONGS』(NHK)には井上が2週連続で登場し、ライブパフォーマンスだけではなく、貴重なツアーリハーサル映像、そして何とも言えない独特の笑いを生むトークを展開しネット上でも話題となった井上。若い頃はライブでは全く喋らず、無口を貫いていた井上だが、『SONGS』では年齢とともに「羞恥心が摩耗して」喋るようになったと自己分析。ライブのMCについては「大器晩成」と冗談交じりに話していた通り今回、NHKホールでのコンサートでも、軽妙洒脱なトークが繰り広げられた。
50年のキャリアの中で、多くのヒット曲を持つ陽水はコンサートの冒頭で「皆さんがご存知の曲をできるだけ多く歌います」と宣言。自分の曲を全部歌ったら「コンサートが1週間かかる」という、膨大な楽曲の中から珠玉の名曲が披露された。
「自分ではあまりいい曲と思わなかったけれど、周りのスタッフには好評だった」という曲紹介で歌う「いっそ セレナーデ」。渋谷のフォーク喫茶で出会った忌野清志郎と、狭いアパートで2人、炬燵に入りながら曲を共作した思い出とともに「帰れない二人」を歌い、50年以上前にギターケースに歯ブラシと肌着だけ入れて上京した頃のエピソードなど、自身の歴史を振り返りながら数々の名曲が披露。アンコールでは代表曲「夢の中へ」「傘がない」が披露され、コンサートは幕を閉じた。