特に強いインパクを与えたのが、昨年の年始に米・ラスベガスで開催された、世界最大級のエレクトロニクス見本市であるCES 2017。エウレカパークというスタートアップ企業が集まる会場があるのですが、その実に3分の1近くがフレンチテックで占められていて、出店数も地元アメリカに次ぐ約180社。「フランスすごいなー」と単純に圧倒されました。
では、今年開催されたCES 2018ではどうだったかというと、この通り。

昨年の約180社を上回る270社以上がエウレカパークに出展し、会場に入ってしばらくはフレンチテック以外、目に入らないくらい。さらにパワーアップしていました。これだけの数ですから、気になる製品もたくさんあったのですが、中でも私が感心したのがコレ。

EUVEKA社が出展していたスマートマネキンです。こういうボディ型のマネキンはトルソーとも呼ばれ、洋服を縫う前にパーツの布を針で止めて仕上がりをイメージしたり、布を立体的に裁断するのに使います。つまりこのマネキンの体型が、洋服のベースになるわけです。このスマートマネキンがすごいのは、その体型をPCの操作で自由に変えられるところ。もっとロボットっぽいものなら過去にも見たことがありますが、これは見た目もトルソーそのもの。針が刺せるようにエアーなどを使わず、かつ自然なラインが出せるよう工夫しているとのことでした。いかにも、ファッション大国フランスらしい製品ですよね。
さて、今年のエウレカパークでは同じ欧州の国、オランダのスタートアップも、まだ数は少ないながらも目立っていました。目を引くユニークなプロダクトが多く、この製品気になるなぁと思ったらオランダのスタートアップだったということが何回もありました。
たとえば、日本ではソースネクストから「POCKETTALK」という商品名で発売中の、「Travis」という翻訳デバイス。これを作ったのもオランダに本社を置くTravis社です。また今年のCESでは、睡眠に特化したスリープテックも注目を集めていましたが、そのひとつで心拍にあわせて動作するロボット枕「Somnox」もオランダ発。そして私が個人的に気に入ったのが、オランダの2人の起業家が手がける「roader」というタイムマシンカメラです。


120度の角度を持つ約800万画素のカメラで、何か撮りたいシーンに出会ったときにカメラにタッチすると、押した瞬間から10秒前に遡って録画が開始されるというもの。ボタンを押す前後10秒ずつの映像を保存できます。ドライブレコーダー的にも使え、内蔵センサーがクラッシュ時の振動を検知して自動的に起動。前後の映像を残せるとのこと。録画した動画は、連携したスマホに自動転送されるしくみです。
機能もさることながらデザインもGOOD。これは私の勝手なイメージもありますが、フランスやオランダのスタートアップが手がけるガジェットには、デザイン性の高いものが多いように感じます。なおエウレカパークには、このほかイギリスやイタリアなどのスタートアップもまとまってブースを構えていて、フランスに負けまいとばかりに、欧州でスタートアップが盛り上がっているという印象を受けました。欧州は国同士の距離が近いこともあり、IoTの時代に存在感を増すフレンチテックの影響が、周囲の国にも広がっているのかもしれません。
※CESで見つけた女性の「体と性」にフォーカスしたデバイス