先だって開催したドイツ、オランダ、スイス、ベルギーの4ヶ国8都市をめぐる単独ヨーロッパ・ツアーでは各国のオーディエンスを驚嘆させた布袋。台北・香港公演ともに会場は満員の観客で埋め尽くされ、多くの地元メディアや両国のトップ・ギタリスト、若手ミュージシャンが「日本一のギタリストのプレイ」を一目見ようと会場に駆けつけた。台北公演後の香港ライブは序盤、世界リリース・アルバム『STRANGERS』収録の「Strangers」「Medusa」と人気ナンバーを連続しオーディエンスを陶酔へ。インストゥルメンタル・ナンバーを2曲続けたのち、英語詞によるボーカル曲「How the Cookie Crumbles」がスタートすると、自身の頭上にまで真っ直ぐ蹴り上げる布袋特有の足上げパフォーマンスに客席からは驚きの声が上がっていた。
さらに布袋の勢いは止まらない。中盤で披露した「New Chemical」の華麗なアンサンブルと気迫のギター・プレイでオーディエンスを圧倒したのち、世界的認知度を誇る「Battle Without Honor or Humanity」では、映画『007』や『ミッション:インポッシブル』のテーマを引用したアドリブを展開。『キル・ビル』のテーマにもなった同曲とシンクロさせる凄烈なパフォーマンスにより、フロアを熱狂の渦に誘い込んだ。
MCでは「みんな、アルバム『STRANGERS』は手にしてくれたかな?(手を挙げなかった一部の観客に対し)大丈夫、心配はいらないよ。会場を出たところで手に入るしお金を払うことができる(笑)」など流暢な英語で時おりジョークを放ち、親しみやすいキャラクターと神がかった演奏とのギャップにオーディエンスは沸いた。その後、バンド・メンバーひとりひとりを丁寧に紹介し、ザッカリー・アルフォードがデヴィッド・ボウイの強力なサポート・ドラマーであったことに触れ、そのままボウイの「スターマン」をカヴァー。さらに、メニューが折り返したところでファースト・ソロ・アルバムから「MATERIALS」が披露され、「BAD FEELING」、COMPLEXのナンバー「BE MY BABY」へと続くロックンロール・パーティーに、会場は天地をひっくり返したかのような大騒ぎに。「NO. NEW YORK」では、イントロがプレイされた瞬間に大歓声が上がった。続いた「DREAMIN’」の日本語詞を会場全体が大合唱するさまは感動的な光景であった。