今後、世界中ではさまざまな産業分野において、ロボット化が進むと言われている。企業としては、雇用がなくなることから、人件費が減り、経営の合理化が進むメリットがあるが、製造業やサービス業などに就いている労働者側からすれば、戦々恐々といったところだろう。 そうした流れのなか、世界第2位の米客船海運企業ロイヤル・カリビアン・クルーズ(以下、ロイヤル・カリビアン)は、2014年から船内バーテンダーの一部ロボット化を開始。もちろんこれは、人件費の削減だけに焦点を当てたものではなく、最先端テクノロジーを搭載することによる「客寄せ」の役割もあるのだが、面白い試みだ。 「Bionic Bar(バイオニック・バー)」と呼ばれるこのハイテクバーは、現在「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」「アンセム・オブ・ザ・シーズ」「オベーション・オブ・ザ・シーズ」という3種類の豪華客船で採用されている。備え付けのタブレット端末で飲み物を注文すると、ロボットバーテンダーが天井のボトルを器用にとってカクテルを作ってくれる。支払いも専用バンドをかざすだけでスムーズ。近未来的で、多くの乗船客を楽しませている。 先般就航したばかりの「オベーション・オブ・ザ・シーズ」はアジア市場の獲得に向け、天津、香港、シドニーにホームポートが設けられているが、ロイヤル・カリビアンは2017年、さらにシンガポールもホームポートとして追加する方針であるという。同社ではすでに追加で2隻の同型船を発注していることから、発着先や今後のツアー展開に注目が集まっている。