「おしりを触ってみて」とロボットに言われるとき、人は、ロボットとわかっていても戸惑いを感じる、という研究が話題となっている。 IEEE(電気・電子・情報・通信分野の世界最大の学会)によると、「機械ボディとのふれあい:人型ロボットの親密な部分との接触は生理学的に興奮させる」と題するスタンフォード大学の研究では、「シミュレーション」にすぎないロボットの「人間性」に、人はやすやすと欺かれることが明らかになった。「ただのロボット」との脳の認識を、ロボットの「人間性」が凌駕するためではないか、と研究者は考える。 ロボット「NAO」とふたりきりになった被験者にセンサーを装着し、生理的興奮を測定する。「生理的興奮」とは、注意、覚醒、意識を指す一般的な用語であり、性的興奮を意味するものではない。臀部や性器など、ロボットの「アクセスしにくい」領域への接触は、手や足など触れやすい部分よりも興奮が測定された。 「今回用いたロボットは、人と対話でき、仕草も人間そっくりだったので、人々の反応にどれほど影響するか興味深かった。この研究では、生理的興奮の原因が明らかにされたわけではない。異なるデザインのロボットなら、結果は異なったものになるだろう」と、研究者のJamy Liは解説する。 この研究は、ヒューマノイド形態はもちろん、タッチボタンのデザインなど、ロボットの開発者や設計者に多くの示唆を与えるものになると考えられる。外観もアクションもますます人間そっくりになり、洗練されていくロボットとの「ふれあい」の問題、また「人間性」の定義は、今後さらに重要になることだろう。 Jamy Li、Wendy Ju、Byron Reevesによるこの研究は、6月に福岡で開催される国際コミュニケーション会議で発表される予定だ。