小売店における決済は今、変わろうとしている。消費増税にともなう軽減税率、インバウンド需要への対応。時代や消費者のニーズ、押し寄せる変化にアナログな設備ではもう対応できないことは明らかだ。「まだそんなレベルじゃないよ」と高をくくっていては、ビジネスチャンスがするりと逃げてしまうだろう。そう、丈には合っていないと無視するのは大間違いなのだ。大企業だけでなく、個人経営の店舗もサポートするソリューションが生まれ、それをいち早く取り入れた先駆者が利益を増やしている。 レジスター、カード会計、POSシステム。これらはショップにおける会計の仕組みと聞かれた時に、真っ先に思い浮かぶものだろう。つまり、決済における“三種の神器”とでも言うべきものたちだ。店頭に鎮座するレジは日本の当たり前の風景だ。だが、その姿はここ数年で大きく進化した。キーワードは「ICT」。つまりはクラウドへの対応だった。 例えば、喫茶店のカード決済にICTを組み合わせてみるとしよう。クラウドを利用した仕組みによって、劇的なまでに専用端末のコストを下げることができる。すると何が実現されるのか? それは初期投資の削減だ。個人経営の喫茶店でも簡単にカード決済ができるのが、これからの時代なのだ。そしてそれは、カード決済主体の外国人観光客を呼び込む上で、間違いなくプラス材料になる。 さらに、最新の決済現場ではレジスターとPOSシステムが一体となり、スマホやタブレットのアプリに姿を変えている。かつてPOSといえば、大規模チェーンでしか使えない高価なものだった。それが、今では手持ちのタブレットにインスタントに収まり、会計に利用できるのだ。野外に持ち出せば、ポップアップショップやイベントなどでもレジいらず。あらかじめ商品情報が登録されることで、軽減税率の反映も全て自動だ。もちろん、売れ筋商品のチェック、支店間の売り上げ管理といったビックデータの分析にも利用できる。シンプルなのに大きな広がりがあるのだから、ビジネスの夢も規模も可能性に満ちている。 一方、世界を見渡せば、ICTは様々な形でレジ回りのオペレーションを変えている。中国では今や客が自分のスマホを使って、自ら注文できる店が増えている。アメリカではフィンテックへの対応が進んでおり、クレジットカードが1枚にまとまり、iPhone内臓のICチップで会計ができる「Apple Pay」もスタートした。 このようなトレンドは3月8日から開催された、流通システムの総合展示会「リテールテックJAPAN」にも見て取れる。展示を見れば出てくる言葉は、インバウンド対応、免税対応、消費税の軽減税率対応……。今まさに小売店が抱える課題が、レジの新機能として解決されている。 日本の小売はスマート決済で変わる。17年消費税増税、20年東京オリンピック開催を控える今、まず始めるべきは何か? その答えのひとつが決済方法であることは間違いない。