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【連載・視点】地域の資産を有効活用!下諏訪で生まれた「温泉ストーブ」

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温泉ストーブ
  • 温泉ストーブ
  • 温泉ストーブ背面
  • 設計チームのリーダーとなった太田伊智雄さん
  • 左からシナノ企画の成田氏、太田氏、ものづくり支援センターしもすわの中野氏
  • 温泉をひいている家の外には大きなタンクが
  • 部屋に温泉を引き込むパイプ
■大変だった温泉成分との戦い

 プロジェクトチームで試作機を作った製品は、かなり熱効率を上げることができた。「ラジエータやファンの設計方法から、対流を含め輻射熱までをちゃんと使うなど最適設計を行った結果です」。最初はパイロット版を2台作り、試しに使ってもらった。一昨年は7台の温泉ストーブを販売することができた。「宣伝も何もしていないんですが、じわじわと口コミで広がりつつある」という。温泉ストーブは、外見はお洒落なヒーターのよう。カラーはブリティッシュモスグリーン、バニラホワイト、ブルゴーニュワインレッドといった3種類を用意する。簡単に言ってしまえば、温泉の湯をラジエータで熱に変えファンで拡散する。価格は付属品も含め25万円だ。弱、中、強といったダイヤルボタンで温度を調整する簡単な機構だ。

 開発に際して難しかったのは、温泉の成分との戦いだという。「熱交換の効率を良くするには狭いところを通した方がいいんです。しかし、それは温泉の成分が詰まりやすいということにもなります。また酸性が強いと、たぶん数か月で穴が開いてしまいます」。その土地の温泉の成分を考慮した設計を施す必要があり、試行錯誤で経験値をためていった。当然温泉の成分はその地域によって異なるため、この温泉ストーブがどこの温泉地域でも活用できるというものではない。そこが大手メーカーが参入できない、あるいは商品を普及させることができない障害のひとつでもあり、受注生産の強みでもある。あとは、「車も悪路を走ればタイヤが減るのは当たり前。それはそれで仕方ないことなので、(タイヤと同じで)温泉ストーブも(部品を)交換することができるようにしておけばいい」という考えにいきついた。結論として言ってしまえば簡単なことだが、なんとか品質をもたせようということに費やした時間はすごかった、とチーム全員が振り返る。
《RBB TODAY》
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