産学連携により、日本酒を輸出する流通過程でトレーサビリティシステムを構築する実証実験が始まった。生産段階での情報、流通経路、温度管理の情報を視覚化し、消費者、流通業者、生産者のすべてが簡易かつ適切に管理できることを目指す。 同実験に参画するのは、流通システム開発センター、日本アイ・ビー・エム、凸版印刷、慶應義塾大学SFC研究所、大和コンピューター。「天狗舞」を手がける車多酒造(石川県白山市)と「満寿泉」の桝田酒造店(富山県富山市)の日本酒をタイのバンコクへ輸出する実験となるが、出荷時に日本酒のキャップに新開発のRFIDタグを取り付け、温度データや位置情報データなどのトレーサビリティ情報を各流通拠点で収集し、パソコンやスマホなどから閲覧できるようにする。 RFIDタグには、仮に破損した場合にも破損記録を保持できる機能を備えており、破損はもちろん不正な開栓も把握することが可能。安全性を確保できるほか、非正規品や偽造品の流通防止にも効果が期待される。また、バンコク現地の消費者と生産者をソーシャルネットワークでつなぎ、生産者と消費者の情報交換によって、日本酒の販路拡大も図る。 今回の実験は10日まで実施されるが、これを通じて非正規品や偽造品を市場から排除しつつ、確かな品質を保ちながら輸出できる仕組みを構築できれば、日本酒に対する海外での評価・信頼を高められることが可能。日本酒の海外への売り込みに大きな追い風となる。