中小企業庁は24日、2015年版中小企業白書および2015年版小規模企業白書を公開。そのなかで同規模の中小企業間でも収益の格差が拡大していることが明らかになった。 中小企業庁の調査結果では、中小企業の景況は2013年以来改善傾向で、14年4-6月期にマイナスに転じたものの、足下では持ち直しの動きがあるとしており、全体としては好転傾向と見られる。企業1社あたりの実質付加価値額に関しても、中規模企業が横ばい傾向であるものの、大企業と小規模企業は伸びを見せている。 一方で、中小規模企業間の収益状況は二極化が進んでいる。大企業からの受託加工が中心だった中小企業も2000年以降、グローバル化の流れを受け、大企業との関係が希薄化。自ら市場に働きかけることが必要になってきた。こうした背景もあって、同規模の中小企業でも経常利益率上位25%に入った企業はより収益力が増加する反面、経常利益率下位25%の企業はより収益力を下げてるという、同規模企業間での格差が広がる状況となっている。 中小企業白書では、今後の中小企業成長のための課題としてイノベーション、販路拡大を取り上げ、成長の可能性を示唆。同時に、新規開拓目標を達成できなかった企業は、課題として「新規顧客を発掘できる人材」「アイデアを出し形にする人材」の不足をもっとも多く挙げており、人材の育成と獲得がポイントとなっている。 中小企業全体でも人材不足は拡大しており、「人材を(十分に)確保できている」と答えた企業は43.8%と半分以下にとどまる。人材を確保できていない企業は56.8%が理由として「人材の応募がないため」と回答したほか、「応募はあるがよい人材がいないため」が39.9%で次いでおり、数・質ともに人材不足に陥っている状況が浮き彫りになっている。