9月27日に首都圏限定公開、その評判の高さから上映を大きく拡大した話題作がSF映画『クロニクル』だ。その高評価、人気の高さも当然だ。偶然から特殊な能力を獲得した3人の少年が、その力に目覚め、やがて暴走していく様子をビデオカメラの視点からリアリティたっぷり描いていく。迫力のあるVFX、アクションシーンが現実味を持って迫って来るのが見どころだ。2012年2月3日の全米公開では、PG-13のレーティングがついているにも関わらず、初週末興行1位を獲得、全米6400万ドル、全世界1億2600万ドルの興収を叩き出した。この話題の『クロニクル』のBlu‐rayとDVDが、2014年12月4日に発売となる。同日、レンタルもスタートする。首都圏限定公開から拡大上映したとはいえ、まだまだが観たかったけれど機会を逃してしまったという人も多いはずだ。映像ソフトで、いよいよ視聴可能になる。■ Blu-rayのみどころは? 劇場版より5分長いエクステンデッド・エディション新たに作品を観る機会となるが、映像ソフトならではのうれしい特典が、収録されている。劇場公開バージョンに85分より、5分長くなった90分のエクステンデッド・エディションである。映画では描かれなかった5分の映像とは?Blu‐rayで是非、確認したいところだ。また、Blu-rayだけの特典もある。日本オリジナルの解説書(8ページ)が見逃せない。こちらで映画の背景をより詳しく理解することが出来るだろう。さらに映像特典は、「未公開シーン:マットとケイシー」(1分4秒)、「プレビズ:コンセプト・アニマティック映像集」(7分46秒)、「別キャストによるカメラテスト」(4分)、オリジナル劇場予告編などが収録される。こちらもファン必見だ。■ 「クロニクル」、何が話題になったのか?サプライズともされた『クロニクル』の大ヒット、その理由は一体どこにあったのだろうか?それは数多くのヒット作を放ってきたハリウッドでも異彩を放った個性的な作品だったことにある。1) 監督も俳優も若手の注目、今後のハリウッドを背負う才能の先物買いひとつは映画の監督、俳優に若手を抜擢したことで、新世代のファンの共感を呼んだことだろう。監督のジョシュ・トランクは現在28歳、20代半ばに映画を撮ったことになる。すでに2015年公開のVFX大作リブート版『ファンタステック・フォー』の監督に抜擢されている。アンドリュー役のデイン・デハーンも、本作以降『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』、『リンカーン』、『アメイジング・スパイダーマン2』で次々に大役を射止めている。マット役のアレックス・ラッセルは話題の映画『キャリー』に、スティーブ役のマイケル・B・ジョーダンのジョージ・ルーカス製作総指揮の『Red Tails(原題)』に出演する。今後、ハリウッドでさらに大きな注目を浴びるだろう。2) カルト、そしてムーブメント作品は若者共感を得るために、コミュニケーションを活用した。公開前から動画のプロモーション映像が話題を呼び、Facebookのフォロワーは、80万人にも達する。『ワールド・ウォーZ』の67万人、『パシフィック・リム』の50万人を超える。ファンメイドのパロディ映像が、YouTubeで再生回数約700万回が超える事件も起きた。米国エンターテイメント・ウィクーリー誌は、『クロニクル』を“将来のカルト作品候補”に挙げる。■ 日本の映画ファン、アニメファンにも注目 傑作SF映画の最進化形そして、何よりも映画ファン、SFファンに受けたのは、これまで傑作SF映画の系譜を受け継ぎつつ、その最新化形を提示したことであろう。超能力を手に入れた若者が、その力翻弄される様子は日本のアニメ映画の傑作『AKIRA』や1970年代の『キャリー』を思わせる。悩める若者は「エヴァンゲリオン」シリーズと共通するかもしれない。さらにドキュメンタリースタイルのSFは、『第9地区』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の系譜だ。これらはいずれもカルト的な支持を受けた作品だ。こうした伝統を受け継ぎながら、超能力、SFアクション映画の新たな可能性を切り拓いた作品、それが『クロニクル』だ。映画『クロニクル』2013月12月4日 ブルーレイ・DVD発売