全体的には、伝統的な英国メンズファッションへのオマージュを色濃く感じたが、そんな中で異彩を放っていたのは、アイルランド出身のJ.W.アンダーソン(J.W.Anderson)。同じ若手デザイナーのC.グリーンが自身のデザインの特徴を「男らしさ」と語っているのに対し、アンダーソンは、ラッフル付きのショーツやスカート、フリルをあしらったニーハイブーツなど、自身のレディースコレクションにも登場した女性的アイテムやディテールを引用し、メンズウエアに仕立て上げた。コレクションのタイトルはMathematics of Love(愛という数学)。彼にとってレディースウエアとメンズの境界線はあいまいで、「相互に交換可能」というのがそのデザイン哲学だ。
《岡本恵美》