「FASHION HEADLINE」では、2013年春夏東京コレクション評をジャーナリストやバイヤーの方々からお聞きしました。最後となる第10回目はスタイルサイト編集長の麥田さんです。回答者:麥田俊一(STYLESIGHT by FASHION FREAK TOKYO編集長)Q1.よかったブランドとその理由A:・キューン(CUNE)柄の意匠に見られる奇天烈さ加減がクセになる、魔物のような魅力を感じた・ミントデザインズ(mintdesigns)ひたすらプリントにこだわる執拗な姿勢の中にも、新境地を垣間見せてくれた・リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)破天荒かつ大河浪漫的なプロットで、欲心と云う人の業に言及している点に惹かれたQ2.今後期待できる注目ブランドとその理由A:アディアム(ADEAM)敢えて今回東京コレクションにて初めてショーを発表したブランドの中から選出しました。奇麗にまとめたコレクションに上手さを感じました。ショーを開始して間もないブランドの中に、次に注目したいと想わせる期待感を持つことが出来なかったシーズンでした。Q3.ほしいアイテム、オーダーしたものA:ありません。Q4.今季のコレクション全体の感想A:数は増えたが、薄っぺらな内容のショーが目立っていた。必然的にミントデザインズ、ホワイトマウテニアリング(White Mountaineering)、ヨシオクボ(yoshio kubo)、アンリアレイジ(ANREALAGE)など、ここ数シーズン東京コレクションを牽引してきた新世代ブランドの躍動感を浮き彫りにする仕儀となってしまったのは残念。上述のブランドに次ぐ若手の溌剌に期待したいのだが……若手ブランドのショーに閉塞感が漂っているのは奇妙だ。Q5.東コレについて思うことA:とは云え、キューンが見せた昭和レトロを濾過装置とした、突き抜けたナンセンス感、一切合切を呑み込む東京ファッションの混沌の度合いと熱量の高さを表現したリトゥンアフターワーズの捨て身の潔さ等々、コラージュとシミュレーションに長ずる東京コレクションのコアな部分がギラギラしていたのではないか。異文化の坩堝(るつぼ)の煮えたぎるエネルギーをしばらくぶりに感じたシーズンだった。