しかしながら、第3世代基地局のマルチキャリア信号は、10dBを超えるPAPR(Peak to Average Power Ratio)を有するため、従来のAB級の主増幅器では高効率化に限界があった。よって、主増幅器のさらなる高効率化を目指して、デバイスとアーキテクチャの両面から開発に取組んだ。パワーデバイスとしては、従来のGaAsMESFET、LDMOSデバイスに加えて、高効率性に優れたGaNデバイスを採用し、デバイスメーカと共にE級やF級パワーデバイスの開発を行った。アーキテクチャに関しては、1930年代のAM送信機の技術であったドハティ方式とLINC (Linearization using Nonlinear Components)方式を、第3世代基地局アンプに応用する開発を進めた。
DPD方式LPAの低コスト化・小型化・低電力化のために、当社で開発したDPD処理部及びリミッタを内蔵したASIC(Application Specific Integrated Circuit)を開発した。図10にASICの写真を示す。本ASICは、完全自社開発で2009年12月に開発完了した。図11に当社製ASICを搭載した初の商用機である屋外送受信装置の外観を示す。