ガソリン車の燃費を向上させたり、EVの性能向上を図るには抵抗を減らすことが何より重要だ。車重を軽くしたり、空気抵抗を減らすことはもちろん、転がり抵抗も大きい。タイヤだけでなく、各部の慴動部には摩擦抵抗が生じているから、それらを軽減するだけでも燃費の向上につながるし、ガソリン車でも電気抵抗を軽減してやるだけで振動が減少したり、燃費やパワーが向上することもある。そんな抵抗軽減に効果的なアイテムがあることを「人とくるまのテクノロジー展」で再認識させられた。東洋ドライルーブの『ナノカーボン』は、金属表面にナノレベルのカーボン粒子(粒径15ナノメートルのクラスターダイヤ)を塗ることで接触面の接地面積を向上させて電気抵抗を軽減してくれるケミカル剤。以前はクルマ用とPC用で若干パッケージが違う商品としてそれぞれのルートで販売されていたが、先頃パッケージを一新しナノカーボンという統一商品名で販売されているという。ブースでの展示だけでなく、筆者の携帯電話を使って、その効果を試させてもらった。通常、携帯電話のカメラモードはアングルを変更すると画面中の映像はカクカクと動いて、まどろっこしさを感じさせるが、バッテリー端子部分にナノカーボンを塗ると若干ではあるが、画面の動きが滑らかに。外部メモリの端子に塗ると、プレビューの一覧表示が明らかに速くなった。これは接点表面の微細な凸凹により生じている電気抵抗を解消して本来の抵抗値を取り戻すことで、性能が向上したように感じられるそうだ。いっぽう、同じ東洋ドライルーブの『ドライルーブ』という表面処理剤は、二硫化モリブデンやテフロン、グラファイト(カーボン)を配合した固体潤滑剤で金属だけでなく、ゴムやプラスチックなどの表面にもコーティングすることで摩擦を大幅に低減してくれるそうだ。デモでは、クルマのダンパーロッドとシールにコーティングしたものを無処理のダンパーと比較。低圧ガスのツインチューブ式ダンパーは縮めても自己での伸長性が低いので、なかなか元のようにダンパーが伸びないが、ドライルーブを処理したダンパーははるかに速いスピードでダンパーが元のように伸び切った。クルマの部品にはこのドライルーブで表面処理しているものも多く、樹脂製のアクセルペダルとブラケットは、未処理のものでは十数万回の開閉操作でガタツキが生じたのに対し、ドライルーブで慴動面を処理したペダルは100万回以上の開閉操作でも問題なく使用できたそうだ。