パナソニックは20日に、体積当たりの出力を高めたモバイル機器用燃料電池システムを開発したことを発表した。スタックの小型化技術、小型小電力のBOP(Balance Of Plant、発電補助機器類)を融合させた直接メタノール型燃料電池システムとなる。 今回の試作品は、平均10W・最大20Wの出力を維持しながら、体積270ccと約1/2の小型化を実現し、燃料200ccあたり約20時間の駆動が可能とのこと。 従来のスタックでは締結などに使われ発電に寄与していなかった部分の構造を見直すことで不要な体積を極力削減し、大幅にスタックを小型化したという。またBOPについては、燃料をポンプ内部で適正な燃料濃度に直接混合して、各セルに最適な燃料量をリアルタイムで供給する小型燃料ポンプなど、小さな消費電力で駆動できる部品を実現した。これらのBOPにより、燃料と空気を必要な時に必要な量だけ燃料電池スタックに供給でき、効率よく電力を取り出すことが可能となった。 試作品は、ノートパソコンに搭載したモバイル燃料電池システムと、マルチ充電器として使用するモバイル燃料電池システムの2タイプ。ノートパソコン用途タイプは、リチウムイオン電池パックと同等の体積を実現し、ノートパソコンの外観を損なうことなく、リチウムイオン電池パックとの置き換えが可能。 マルチ充電器タイプは、文庫本と同じサイズでUSB出力端子を2ポート備えており、同時に複数の電子機器に電源を供給することが可能だ。 なおパナソニックでは、本方式を採用した直接メタノール型燃料電池の試作品を、「水素エネルギー先端技術展2008」(22日〜24日@福岡県北九州市)に参考出展する予定。