低ダメージ・収差フリー電子回折顕微鏡は、結像レンズの代わりに回折パターンからコンピュータの計算処理によって像を構成する回折顕微法と低エネルギーの電子ビームを用いる走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)を組み合わせたもの。これにより、高エネルギーの電子ビームによる損傷を受けやすく、長時間の観察が難しい有機物などの軽元素材料を繰り返し観察できるようになった。また、結像レンズを用いないため、ゆがみやピントのずれがなく、高い分解能での観察を可能としている。今回試作した装置では、30keVの電子ビームで多層カーボンナノチューブを0.34nmの分解能で観察できることが確認された。