独立行政法人・理化学研究所と富士通は8月3日に、日本将棋連盟の協力を得て、共同研究プロジェクト「将棋における脳内活動の探索研究」を開始したと発表した。 この研究プロジェクトは、将棋における局面の状況判断や指し手の決定過程等にかかわる脳の神経回路の情報処理メカニズムを解明し、人間に特有の直感思考の仕組みを解明することを目的としたもの。 理研脳科学総合研究センター(BSI)伊藤正男特別顧問(神経回路メカニズム研究グループグループディレクター)の「運動のみならず思考過程においても小脳が重要な役割を果たす」との仮説(小脳仮説)から出発し、プロ棋士が将棋を行っているときの小脳の思考活動を世界で初めてfMRIで測定し、人間の直感に関する小脳の活動を解明していく。 研究テーマとして、「将棋を指すことに伴う思考過程のfMRIによる研究」「将棋思考過程における脳活動の脳波による解析」「将棋課題解決時の思考制御における小脳内部モデルの関与」の3つの研究テーマから着手し、小脳仮説の実証を進めていく予定。 この研究プロジェクトには、知識蓄積のモデルの提示、小脳の神経回路の情報処理的な仕組みの解明、高技能技術者からの技能の継承のあり方に関する知見の提供、複雑化する情報システムの安定運用への応用など、さまざまな期待が寄せられている。また研究プロジェクトの成果は、「セカンドライフ」内に富士通が保有する「島」でも順次発表し、世界中の研究者ともオープンな議論を進めていくとのこと。 また、本「島」の中で、日本の将棋文化を世界に普及させる一助として、将棋に関連したアイテムの展示や、将棋の対局を行える将棋の道場を設置し、一般に公開していく予定。
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